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旭区・瀬谷区 人物風土記

公開日:2013.03.07

東日本大震災の県内避難者の交流場をつくろうと、活動を続ける
坂本 建さん
左近山在住 45歳

故郷の結束 絶やさない



 ○…東京電力福島第一原発事故の影響で警戒区域となった福島県富岡町。「平穏な日常が奪われた」あの日から、間もなく2年。現在は避難のため左近山で生活するが、故郷への思いが薄れることはない。9日に中区で開かれる神奈川県内の避難者を対象とした催し「ふるさとコミュニティinかながわ」では、実行委員会の副委員長を務め、仲間との交流場づくりに向けて準備に奔走する。



 ○…2011年3月11日。その日は長女の中学校の卒業式だった。お祝いの余韻に浸りながら職場のガソリンスタンドに戻り、いつも通り業務をしていたところ、地鳴りを感じた。「すぐ収まるだろう」。そう思ったが揺れは止まらない。スタンドの屋根の柱は45度に傾き、左右に揺れていた。ライフラインの断絶や原発事故など不安は尽きなかったが、意外なほど冷静に動けたという。それでも、ニュースから流れる国の対応には、怒りを隠さずにはいられなかった。



 ○…一昨年の4月から左近山団地で暮らす。福島県からの避難者は神奈川県に約3千人と言われていたが、個人情報の関係で所在は把握できない。子どもの学校編入の手続きや就労問題、故郷の先行きなど悩みは尽きない中、相談できる人は近くにいない状態。以前は自分から率先して動くような性格ではなかったが、「情報交換の場をつくろう」。自然と行動に移し、避難者を対象とした交流会の開催に尽力するように。「待ってても誰もやってくれないから。誰かがやらなくちゃ」



 ○…現在はリフレクソロジーの店で働く。交流事業の活動もあり睡眠が2時間ということも。表情には少し疲労がにじむが、その動きを止めることはない。「俺なんかが言うのはおこがましいけど、みんながつながることが第一歩。考え方はそれぞれ違うけど、故郷のことを一緒に考えていきたい」。遠く離れた富岡町を思いながら、今、自分にできることに全力を注ぐ。

 

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