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公開日:2015.08.13
戦後70年、消えゆく「語り部(べ)」
「若葉の会」会長に聞く
第二次世界大戦の終結から70年となる今年。戦争を知らない時代に生まれた人が大半となった現代において、当時の体験を語る「語り部」の数が少なくなっている。若葉台を中心に活動する「戦争体験を語り継ぐ若葉の会」の片岡正会長(88)は、戦争体験を人々が語り継いでいく必要性を訴える。
同会は、2002年から主に若葉台の中学・高校の生徒などを対象に、自身の戦争体験を語り、戦争の悲惨さ、平和の尊さを訴える活動を行っている。これまでに39人の戦争体験者が講師となり、講演した回数はのべ160回。片岡さん自身も17歳の時に横浜大空襲を経験し、その壮絶な過去を話すことで、戦争の悲惨さを訴えてきた。
「みなさんの貴重な戦争体験を生徒たちに話していただけませんか」。きっかけは、旧若葉台西中学校の校長が、同校と交流のあった旭区老人クラブ若葉台支部の会長をしていた片岡さんに依頼をしたことだった。その後、片岡さんが老人クラブの会員に呼びかけて、同会が発足。片岡さんは、「戦争体験者の声を初めて聞いた」、「教科書でしか戦争のことは知らなかったので貴重な話が聞けて良かった」などといった感想を生徒からもらうと、講演したかいがあったと話す。
また、同会ではその講演内容と生徒の感想文をまとめた戦争体験講話集「若い世代へ 語り継ぐ戦争体験〜平和への思い託して〜」を発行。昨年は、10冊目となる総集編が作られた。同会は同講話集を、講演を聞いた学生に無料で配布している。
戦争体験者の高齢化
これまで39人の戦争体験者が講師となった同会。しかし、現在はその中の9人が既に亡くなり、20人は高齢や介護施設への入居などを理由に講演ができない現状がある。「現役は10人。その内、92歳の方が2人、私自身も88歳になった。あと何年活動できるかわからない。今後、戦争体験を伝える人がいなくなることに危機感を感じる」
戦争体験者の中には、大勢の人前で話すことが苦手な人や、自身の過去を語ることを拒む人も少なくない。当時を体験していても、語り部として活動できる人はその中の一部。そのため、語り部の絶対数は自然に少なくなっていく。そんな中、片岡さんは体験を語り続ける意義を、「聞いている人に平和を考えてもらうことが、戦争を体験した者の責務だと思うんです」と力強く答えた。
平和への思い後世へ
片岡さんは戦争体験を語り継ぐことをリレーに例える。「第一走者が倒れたら、第二走者がバトンをもらって走り出す。戦争体験もそのように語り継げたら」。戦争を経験した世代がいなくなった後、戦争を知らない世代の誰かが体験を伝え続けていく必要性を訴える。「自らの体験を伝えることで、平和がいかに尊いものかを分かってもらいたい。その先は、聞き手が自ら学び、考え、平和に貢献するための道を見出してほしい」
記憶は何もしなければ、時間とともに風化する。悲しい歴史を繰り返さないために、次の世代が記憶のバトンをつなぐ時期に差し掛かっている。
15日、講演会を実施
同会は旧若葉台西中学校木工室で8月15日(土)、講演会「横浜大空襲70年を語る」を実施する。午後1時半から。横浜大空襲の経験者が自らの体験を語る。参加費500円(資料・飲物付)。(問)同会・片岡正さん【電話】045・922・3327
戦後70年 語り継ぐ戦争の記憶
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