窪田正孝さんが主人公を演じるNHK朝の連続テレビ小説「エール」。物語は名作曲家・古関裕而氏(1909〜89)の人生をモデルにしている。1964年の東京五輪の行進曲「オリンピック・マーチ」、高校野球大会歌「栄冠は君に輝く」、「君の名は」、「モスラの歌」など、古関氏が生涯で作曲した曲数は約5千曲。 日本歌謡史に残る名曲を数多く手がけた名作曲家は横浜の地にも息づいている。
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旭区民にとって身近な存在である相鉄線を運営する相模鉄道(株)。この社歌も同氏が手掛けた。同社によると1963年に歌詞を社内で公募。優秀作品を選出し、曲を付けようと計画したが、該当する作品がなく、結果として外部の専門家に依頼することに。
そこで白羽の矢が立ったのが、すでに多くの曲を世に送り出し注目を集めていた古関氏だった。曲の詞は美空ひばりさんが歌った「東京キッド」などを書いた藤浦洸氏が担当した。楽曲は行進曲調で力強く、覚えやすいメロディー。同社の創立50周年事業の一環として、67年に社歌に制定された当初、半透明のレコードのような「ソノシート」に収められ全社員に配布された。
あれから50年以上が経つ現在、同社ではこの社歌を歌う機会は「ほどんどない」というが今回の「朝ドラ」をきっかけに古関氏にスポットが当たる中、「ドラマ開始後はいくつかお問い合わせをいただいている」と注目度を増しているようだ。
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金沢区にある横浜市立大学の校歌も古関氏が手掛けた曲のひとつ。市大の校歌が制定されたのは1954年。西條八十氏(1892〜1970)が作詞している。
同校60年史の「校歌制作物語」によれば、53年に校歌作成委員会が設置され同年12月、「横浜市大新聞」で大々的に校歌を募集したとある。しかし1月の締め切り日までに集まった作品はわずか3点。委員会は締め切りを延期し、ようやく9点が集まったが、そのまま校歌に採用できる作品はなかった。
そこで、応募作品を素材として、当時の菊地豊三郎学長と交流のあった「青い山脈」や「蘇州夜曲」「王将」など無数のヒットを放った作詞家・西條氏に作詞を依頼。作曲は西條氏の推薦で古関氏に依頼したという。
55年4月に発行された横浜市大新聞によると、作詞作曲料は6万円で、うち1万円を自治会が負担。当時の公務員の初任給が8700円だったことから、現在の価値に換算すると130万円ほどになるという。
古関氏の楽譜などは残っていないが、西條氏直筆の歌詞(コピー)は同校で所蔵する。
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