戻る

旭区・瀬谷区 トップニュース社会

公開日:2023.08.17

横浜市自殺対策
必要な支援に繋げる
旭陵高では独自取組み

  • 検索ワードにより表示される画面

  • 旭陵高では教員らが研修を受けた

 新型コロナウイルスの流行の影響などで横浜市内では、減少傾向だった自殺者数が2020年以降、増加に転じている。市では現在、2024年度から5カ年の「第2期自殺対策計画」の策定を進めており、効果的な対策が盛り込めるかが、注目される。

気づく・支える

 横浜市の「自殺対策計画」は、16年の「自殺対策基本法」の改正に伴い、19年度に第1期計画が策定された。こころの健康相談センター担当課長の中村秀夫さんによると「誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現」を目指し、23年の自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺死亡者数)を15年(15・4)と比較し30%減(11・7)、自殺の危険に気づき、適切な対応を図る「ゲートキーパー(以下GK)」資格者の1万8千人養成などを数値目標として掲げた。

 市内の自殺死亡率は、リーマンショック後の2009年(21・7)をピークに減少傾向で、17年13・3、18年12・9、19年13・1と減少。年間800人弱だった自殺者数も417人(19年)まで減少していた。※1

コロナで再上昇

 第1期計画を受け、市では相談体制を強化。加えて相談箇所に繋げるための施策として、市内からインターネットで「死にたい」「苦しい」などと検索すると相談箇所のバナーなどが表示される検索連動広告を実施。市職員を中心に、22年度までに約1万7千人のGKを養成。目標達成が見込めていた。中村さんによると、検索を経ての電話相談は年間約7000件、メール相談も4、500件あったという。

 しかし、新型コロナの影響で、身体および心の健康面や経済面での悩みを抱える人が増加。減少傾向だった自殺者数は一転。20年498人、21年506人、22年505人と高止まりしている。

 市では、多くの人を相談窓口に繋げるため、新たに生活困窮や女性に関する検索キーワードを追加。3月には初めて大学生のメンタルヘルス対策として、横浜市大、神奈川大の新入生を対象に自殺防止啓発の冊子の配布や情報提供を行った。

 第2期自殺対策計画は、8月10日に第3回の検討会を開催。今後10〜11月をめどに市民意見の募集が実施され、来年3月に計画が策定される。

 素案では、2026年の自殺死亡率は10・8以下を目標(案)とし、新たに女性や自殺未遂者への支援も強化する方向で検討が進められている。

自己肯定感の向上

 市内多くの学校が8月28日(月)から新学期を迎える中、横浜旭陵高校(大野俊世校長)では、夏休みを利用し、生徒の自殺防止につなげるための研修を行った。研修は同校独自の取り組みで、教員らは「認知行動療法」に関する専門講師の講義を受けた後、生徒らの自己肯定感を向上させることを目指す指導案を作成した。同校では11〜12月に実践授業を行う予定。

※1厚生労働省・人口動態統計

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

旭区・瀬谷区 トップニュースの新着記事

旭区・瀬谷区 トップニュースの記事を検索

コラム

コラム一覧

求人特集

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS