ジョロウグモ文:山村卓也(瀬谷環境ネット)写真:中村多加夫(同) 瀬谷の生き物だより178
インターネットに欠かせない「Web」とは、元来「蜘蛛の巣」を指す言葉である。秋になると、人家の庭や林道の樹木の間に、急に大きなクモの巣が目立つようになる。
クモ目ジョロウグモ科のジョロウグモの巣(網)である。中心にいるメス蜘蛛の体長は2〜3cmで、脚をいれると6cmにもなる。腹部上面は黄色地に灰青色の横縞があり、下面には大きな赤斑がある。派手な色合いから女郎(じょろう)かと思うが、実は大奥で身分の高い女官である上臈(じょうろう)が語源のようだ。
ジョロウグモの網目は細かく、まるで「五線譜」のように見える。前後に簡単な〈バリアー網〉も作るので、全体では独特の三重構造の網となる。オス蜘蛛は薄茶色で体長1cm、脚をいれても3cm弱と小さい。メスが食事中や脱皮直後が交接のチャンスで、それ以外ではメスに捕食される危険が大きい。ジョロウグモの大きな巣を見つけたら、一つの網にオスが何匹待機しているかを探すのも面白いだろう。
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