厚生労働省が定める2016年度の「現代の名工(卓越した技能者)」に南台の「テーラー丸忠」店主・阿部忠悦さん(79)が選ばれ、11月21日に賞状や盾などが授与された。
社会に技能尊重の気風を浸透させ、技能者の地位や技術水準の向上を図ることを目的として実施している「現代の名工」。今年度は2月から3月に候補者を募り、各部門の審査を経て受賞者160人を決定。11月21日に東京都港区の明治記念館で表彰式が行われた。
阿部さんは第8部門「衣服の職業」において、紳士服注文仕立職として受賞。長年、ビジネススーツやタキシード、燕尾服などを手掛けてきた阿部さん。製図から縫製まで、すべての工程で手作りにこだわり、「立体的な芯作り」「縫い目が浮かない」「型崩れしない」などの技術が評価された。
過去の受賞歴や役職、さまざまな活動も評価の対象となった。1963年に26歳で独立し、「テーラー丸忠」を南台に開業。注文を受け一着一着を仕立てる傍ら、数々のコンクールやファッションショーにも参加した。2014年には「第25回アジア洋服業者連盟・神戸大会」フォーマル部門で金賞(最優秀大賞)を受賞するなど功績をあげている。(一社)全国技能士会連合会が定める全技連マイスターに認定され、後進育成にも取り組み、区内外の小中学校で職業学習の指導を行っている。
阿部さんは今回の受賞について、「周りから『良かったね』と声をかけられ、実感が湧いてきた」と笑顔。推薦者で、同業者の川村英夫さん(栄区在住)らにも感謝を述べた。「今は職人になるには良い時代」と阿部さん。インターネットの活用に触れ、「本当に良いものを必要としている人はたくさんいる。自ら情報を発信できれば、職人と注文したい人たちがつながるのでは」と、今後を担う若い世代へ期待を込めた。
瀬谷区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|