内閣府がこのほど発表した秋の褒章において、南台で「テーラー丸忠」を営む阿部忠悦さん(81)が黄綬褒章を受章した。
黄綬褒章は、農業や商業、工業などの分野で業務に励み、他者の模範となるような技術や実績を残した人に贈られる。県内の褒章受章者は2団体・48人で、そのうち同章には17人が選ばれた。
26歳で独立し南台に店を構えて以来、紳士服の仕立職一筋で半世紀以上。仕事ぶりや卓越した技能が高く評価された。嬉しさを口にしつつ、「これまでの歩みが重なっての評価だと思っている」と謙虚に語る。
注文を受けて一着ずつ仕立てる「オーダーメイド」にこだわってきた阿部さん。ビジネススーツやタキシード、燕尾服などを手がけ、縫い目が浮かず、立体的な芯作りで何年着ても型崩れしないことが特徴だという。数々のショーやコンクールにも参加。アジア大会のフォーマル部門で第一位の成績を納めたり、厚労省認定の「現代の名工」に選出されたりと、実績を積み重ねてきた。さらに、ものづくりの技能を継承する「マイスター」として区内外の小中学校での指導や、自身の生き方について講義を行うことも。
現在、テーラーをめざす若手に定期的に指導を行っており、「若い人がやりたいと言えばいくらでも応援したい」。その思いの背景には、「いくら自分が良いものを作っても、技術を継ぐ人がいないと(技術が)消えてしまう」という危機感が滲む。受章を経て改めて、テーラーという仕事の魅力を次世代へ伝えていきたいと語った。
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