第81話〜品濃白旗神社と外国奉行〜 とつか歴史探訪
東戸塚駅前の賑わいが無くなる小高い丘に品濃白旗神社があります。この神社は祭神を源義経とする数少ない神社の一つですが、義経に関する由緒は定かではありません。神社は康元元年(1256)に創建、社殿は天正3年(1575)と天保11年(1840)に改築、関東大震災で社殿が倒壊、その翌年の1924年に再建され、その竣工日9月28日が現在の例大祭日になっています。また2007年に不審火により社殿は焼失しましたが、2012年に再建されました。
鳥居を抜けて50段ほどの石段を登ると鬱蒼とした林の中に社殿が鎮座しています。品濃白旗神社の隆興の要因の一つは天正18年(1590)から明治時代初期に至るまで品濃町付近を領した新見(しんみ)家の尽力によるものと伝えられています。
新見家で特筆すべき人はペリーが浦賀に来航した頃に家督を継いで領主となった新見正興(まさおき)です。正興は安政5年(1858)の「日米修好通商条約」締結後、外国奉行次いで神奈川奉行を任命され、日本初の遣米使節団の特命大使の正使として訪米し条約批准を担いました。付き人を含む70数名の使節団はアメリカで熱烈な歓迎を受けました。また使節団を乗せた船の士官中尉は正興のことを「寡黙で温和慈愛、親しみやすく親切な心の持ち主」と記録を残しています。正興は帰国後、外国奉行専任となり、48歳の生涯を閉じました。
東戸塚駅前は大規模開発が行われましたが、品濃白旗神社は町の鎮守として今も住民から信仰され、伝統が受け継がれています。
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