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栄区

俳句集「冬夕焼」を出版した

金子 敦さん

小菅ヶ谷在住 48歳
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 ○…3冊目となる句集「冬夕焼」には06年に他界した母への想いを込めた。「生きているうちに出版してほしい」病床でそう話した母の願いは叶えられなかったが、「3回忌にあわせて供養になれば」と出版した。句集に収めた「いま母を詠まむ風花消えぬ間に」は母の生前最期に詠んだ句。隣には「冬の薔薇日記を閉ざすごとく散る」の句が並ぶ。「肉親の死は誰にでもあること。色んなメッセージを込めた」と話す。

 ○…国語の教師にすすめられ、俳句に興味を持ったのは中学生の時。新聞などに投句し、掲載されたこともある。体調を崩し床に臥していた25歳の時、ふと言葉の断片が浮かび、日記を書くつもりで俳句を書き溜め出した。「体調が良くなって生きるパワーをもらった気がした」という。その後は指導者と会員が集う俳句の結社に入会し、表現力を磨いた。年配者の多い俳句の世界では若手。将来性があるとして1997年に俳壇誌が公募する新人賞「俳壇賞」を満場一致で受賞した。

 ○…これまで出版した句集は「猫」と「砂糖壷」。「猫と甘いものが好きだから」と笑う。有季定型・旧仮名遣いという俳句の規定は守りつつも、マーブルチョコやマシュマロ、マクドナルドなど、句には斬新な言葉が数多く登場する。「俳句は古臭いイメージがある。新しい感覚で楽しく詠めることを若い人にも伝えたい」。年配者が使わない語句を意識的に使うことで、個性を出している。

 ○…3年前に長年暮らした藤沢から引っ越してきた。「江ノ電」や「江ノ島」など湘南の風景を詠んだ句も多い。「葱提げて高島屋へもちょっと寄る」は港南台で買い物をした時に詠んだ句。スーパーで買った葱を提げつつ、隣の百貨店ものぞく不調和な様を表現した。「どうしたら多くの人に興味を持ってもらえるかが俳句の課題」。添削指導などを通して俳句の魅力を伝えていく。

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