掲載号:2009年3月 5日号

○…「ミナトのことを話すのが私の商売みたいなものだからね」。藤木企業(株)会長兼社長にして、横浜港運協会会長。ほか多くの役職を務め、厚い人望と強いリーダーシップで「ミナト・ヨコハマ」を牽引。横浜港はもとより、日本の港湾行政の発展にも尽力する。「横浜港は、私が守る」と語るその顔は、78歳という年齢を感じさせないほど、英気に満ちている。
○…アジア諸港の台頭で、世界における日本の港の地位低下が叫ばれている。そして、規制緩和や米国のサブプライムローンに端を発した世界金融危機によって、横浜港も貨物取扱高が減少しているという。「個人戦では外国に太刀打ちできない。だから横浜は団体戦で勝負する。その武器がGNOなんだ」。数年前から提唱するこの言葉は「義理・人情・恩返し」の頭文字をとった造語。競争や対決ではなく、互助や共生といった日本独自の精神と、日本が誇る高い技術力が横浜港の存在感を高めると信じている。
○…「外国の港町では、Japanを知らなくてもYokohamaは知っている人が多い。それだけ横浜は世界に誇れる港なんだ」と話す。開港150周年の今年は、そんな横浜を築いてきた先人たちの労苦や、発展の道筋をつけた絹やお茶といった他都市への感謝の気持ちを再認識する年にしたいという。「横浜、横浜と威張っていてはだめ」。現在、売上高世界一を誇る海運企業マースク社の社是を例に挙げて「謙虚であれ」と説く。
○…4月に始まる記念イベント「開国博Y150」について、「私も楽しみ。ベイサイド会場とヒルサイド会場を行き来したりね、市民が一つになるきっかけとなってくれたら」と期待する。また小学生全員を無料で船に乗せて横浜を海から眺めてもらう計画も準備中だ。「私はヒルサイド会場を見てみたいね。海ばかり見てるから山に憧れるんだ」と笑わせた。
2016年6月16日号