汚泥焼却灰 「凍結」で保管困難に 行き場失った約2600t
林文子市長は9月14日、放射性物質を含む下水汚泥焼却灰の南本牧廃棄物処分場(中区)への埋め立てを「凍結する」と表明した。「埋め立て処分」の発表からわずか5日。住民や港湾、漁業関係者の猛反発を受けての決定だが、行き場を失った焼却灰は南部と北部の汚泥資源化センターで、増え続けている。
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南部汚泥資源化センター(区内幸浦)には、横浜南部地域の汚泥が各地区の水再生センターを通じて集まってくる。その量は1日7000t。汚泥は濃縮や脱水を経て焼却され、最終的に下水汚泥焼却灰となる。主にセメントの原料として利用されてきたが、放射性セシウムが検出され再利用を中止している。その線量は最大6468ベクレル(6月17日)を記録した。
以来、毎日20t出る焼却灰は約800kg相当が入る袋で同センターの敷地内に保管している。「焼却灰は十分に湿らせ巾着型の二重になったビニール製の袋に入れ、さらにビニールシートをかぶせて保管してあります。雨水が入って漏れたり、飛散したりする心配はありません」と高橋義吉センター長は話す。保管敷地境界の放射線量は東西南北側いずれも0・08マイクロシーベルト(9月5日計測値)。自然界と変わらない数値と報告されている。
同センターの焼却灰は約2600t。高橋センター長は、「このままでは1ヵ月以内に保管が困難になるだろう」と話している。
市、安全性を強調
横浜市は今後、埋め立ての「安全性」への理解を、地元説明会などを通して得たい考え。「埋立地は遮水護岸で囲っているので、放射性物質がそのまま外部に流出することはない。内部の水を排出するポンプにも活性炭やゼオライトを使用するなどの準備を進めている」と安全性を強調する。一方、市民が結成した「南本牧処分場への放射性焼却灰海面埋め立てに反対する会」の渡邊純さんは「偏った学者の意見で安全と言っているのではないか。様々な立場の有識者から意見を聞いて欲しい」と話した。
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