日米の美花コンテスト 白い頭巾かぶった「ヤマボウシ」 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
ハナミズキの花も終盤を迎える頃、ヤマボウシの花が咲き始めます。
ヤマボウシは、花が山法師の白い頭巾に似ているところから、その名がつけられました。しかし、この4枚の白い大きな花弁状は花びらではなく、総苞片(そうほうへん)(苞(ほう)葉(よう))と呼ばれる葉(萼(がく))が変化したもの。その中央に固まっている小さな粒状のものが、一つ一つの花になります。この大きな苞葉が花弁の役目をして、昆虫を引き付けているのです。
ハナミズキは別名アメリカヤマボウシといい、明治の頃アメリカからサクラの苗木の返礼として、送られて来たものが元です。どちらも同じ仲間で、よく似ていますが、4枚の花弁状の総苞片を見ると、ヤマボウシはそれぞれの先端部が尖っています。ハナミズキの先端部は丸く窪んでいるので、簡単に区別できます。この違いは蕾(つぼみ)の時期、ヤマボウシは相対する2枚の苞葉がソフトに重なって傷つかず、ハナミズキはお互いの先端部が堅くドッキングし、引っ張りあう状態のために傷がつき、窪みが生じたと考えられます。
日本生まれのヤマボウシと、アメリカ生まれのハナミズキの花は、お互いにその美しさを競い合い、まさに日米の「美花コンテスト」のように見えます。
ヤマボウシは区内の山林、公園、街路樹、庭木として見ることができますが、ハナミズキの自生種はありません。
|
<PR>