鮮紅色の美しい花 馬を繋いだ「コマツナギ」 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
今回は、初夏から秋まで区内の明るい藪(やぶ)などで、美しい花を咲かせている低木「コマツナギ」のお話です。花は鮮紅色の房状に直立した均等のとれた可愛い花です。茎は人がちょっと引っ張っても引きちぎれないほど丈夫で、馬をこの枝に繋いでおいても、切れず安心できることが名の由来です。
コマツナギは栄養価の高い植物で、牛や馬、山羊などの家畜が好んで食べます。コマツナギが群生している所へ馬を連れていけば、繋いでおかなくても、その場で食べて移動しないという意味で、馬の移動を防ぐ(駒をよそにやらず食べ物でつなぐ)ことからこの名があるともいいます。
おもしろいことに、蜜を求めて虫が花弁に着地すると、その重みで中から雄蕊(おしべ)が飛び出し、虫の体に花粉がつく仕組みを見ることができます。
コマツナギはマメ科のコマツナギ属で、学名(属名)は「インジゴフェラ」といい、「インジゴ」は「インド藍」のことで、藍色の色素(染料)が取れるという意味です。ポスターカラーや絵の具のインディゴ色はここからきています。有名なインド更紗(さらさ)の藍色は、インド産のナンバンアイ(キアイ)というコマツナギの仲間ですが、日本のコマツナギは染料には不向きで、藍色はタデ科のタデアイから取っています。しかし最近、日本産のアイは使われず、もっぱら洋藍(インド藍も含む)を使用していますが、日本在来の藍のような独特の香りがありません。
|
<PR>