災害時に重要となるのが、近隣で互いに助け合う「共助」だ。その中枢を担うまちの消防団の役割が、先の震災で改めて注目されている。
「消防団員は地域の人に正確な助言・指示をしないといけない。そのために各分団は訓練に励んでいるんです」と話すのは、金沢消防団の副団長を務める永島潔さん(68)=富岡東=。まもなく勤続40年になるベテランだ。息子の孝さん(42)も、第1分団副班長として活躍している。家業は明治以来の建具店。潔さんが4代目、孝さんは未来の5代目になる。
3・11当日、2人は仕事で新横浜と三ツ沢にそれぞれ外出していた。ビルの3階で作業していた潔さんは、「立っていられないほどの揺れ」に事の重大さを感じ取った。何とか作業を終わらせ、2人が富岡に戻ったのは午後6時。すぐさま町内を巡回し、被害を確認しながら歩いた。「仕事ではないけれど、団員である以上務めは果たす」。その一心だった。
東日本大震災以降、周囲の防災意識の高まりを感じているという潔さん。「災害が起こったら、とにかく落ち着いて行動することが大事」と指摘する。孝さんも「避難場所・避難経路の確認も重要です」と付け加える。まず自分の身を守る「自助」の意識が、いざというときに大切だという。
消防団では、分団長と団員として一緒に活動したこともある2人。現在は、本部と分団という別の立場で情報交換しあいながら、区内消防団の連携を図る。孝さんは「(消防団には)最初は全く興味がなかった」というが、今は地域のさまざまな世代とコミュニケーションがとれることが気にいっている。「何十年ぶりに同級生に再会したこともありましたよ」と微笑む。
そんな親子の願いは、地域に消防団をもっと知ってもらうこと。「一般の方にも、地域の防災訓練などに積極的に参加してほしい。団員数も減少傾向にあるので、若い人に入ってもらうように頑張らないと」。災害に強い金沢をつくるために、親子二人三脚の歩みは続く。
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