共に白髪が生えるまで 夫婦和合をあらわす「ウラジロ」 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
今回は正月の飾りに用いられる植物の一つ「ウラジロ」を取り上げます。ウラジロは暖地の明るく開けた斜面等に多く群生するシダ植物です。昔はシダといえば「ウラジロ」を指し、漢字で「歯朶(シダ)」と書きました。
室町時代の文献に、「歯朶(ヨハイノエタ)なるウラジロが、めでたい元旦に用いられている」という意味が記されています。「歯」は「よわい(寿令)」で長生きを、「朶」は「えた(枝)」で子孫の繁栄を表しています。別名を「モロムキ(諸向き)」といい、2枚の大きな葉が左右対称に末広がりに伸びていることから、睦ましい夫婦に例えられてきました。さらに葉の裏が白いので、「共に白髪」に通じることから、縁起の良い植物として正月のお飾りに用いられるようになりました。
茎(葉柄)は硬く光沢があり、籠などを編むときの材料に適しています。こうした葉柄や葉はいつまでも色あせず、しゃきっとしていることも正月用材として好まれて来た理由なのかもしれません。
ウラジロは金沢区も含め横浜市内に点在しているという記録がありますが、現在区内ではほとんど見られなくなりました。
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