記者が訪ねる かなざわの名刹 第18回 昇天山 金龍禅院
いまの金沢八景駅南西側にあった「能仁寺」(廃寺)がこの寺のルーツ。関東管領・上杉憲方が永徳年間(1380〜84年頃)に開いたとされ、その塔頭(たっちゅう)(別院)として建てられたようである。開山は建長寺47世・方崖(ほうがい)元圭(げんけい)。彼の等身大の木像は、今なお本堂に安置されている。
境内はかつて、平潟湾に向かって突き出た岬のようになっていて、見晴らしも良かったそう。江戸時代になって庶民の間で物見遊山(ものみゆさん)が流行すると、金沢に立ち寄る観光客が増えた。この寺も例外ではなく、金沢八景が一望できる「九覧亭(きゅうらんてい)」、”金沢四石”のひとつとされた「飛石(とびいし)」が人気に。茶屋なども立ち、たいへん賑わったという。この2つは境内に現存しており、いずれも横浜市登録史跡となっている。
現在の住職は21世の志村碧崖(へきがい)さん。毎週日曜、欠かさずに坐禅会を催している。「騒がしい世の中にあって、朝のひと時に自分を見つめなおしてみることが大切。お寺で『非日常』を味わってほしい」と話している。
【本尊】宝冠釈迦如来坐像
【宗派】臨済宗建長寺派
【住所・電話】金沢区瀬戸10の12 【電話】045・701・8823
(資料・金沢区仏教青年会
「かなざわ霊場めぐり」1994年)
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