春告草、初花草の名を持つ 「ウメ」は蕾より香りあり 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
ウメの花が香る早春、心もウキウキしてくるシーズンの到来です。ウメは古い時代に中国より花とその文化(庭に梅を植えて早春の香りを楽しむ風習)が伝わってきました。こうしたウメの花に対する日本人の美意識や自然観には、中国の影響が大きく関わっています。清廉高雅な面と、艶やかな面を持っており、日本人の心を強くひきつけるものがあります。しかし、西洋人にはあまり関心が持たれていないようです。
奈良時代の万葉集には、白梅のみが詠われており、平安時代の枕草子からは紅梅も現れるようになりました。このことから白梅が先に渡来し、後から紅梅が入ってきたと考えられます。そして、平安時代になると、日本の文化の発達と共に宮廷にウメを植える風習は、次第に左近の桜、右近の橘へと移り変わりました。
古木のウメには、写真のようなコケ状のものが付着しているのを見かけます。これは「ウメノキゴケ」という藻類と菌類が共生している地衣類で、コケではありません。日本には約80種のウメノキゴケがあり、大気汚染に対して敏感で、大気のきれいなところほどよく生育します。このような植物を「環境指標植物」といいます。
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