記者が訪ねる かなざわの名刹 第20回 知足山龍華(りゅうげ)寺
洲崎町のまちなかに位置するこの寺は、「準別格本山」の名を背負う。そのルーツは、1189(文治5)年に六浦で創建された「浄願寺」。のちに火災に遭い、金沢郷の「光徳寺」と合併して現在地に移転し、「龍華寺」となった。
寺号の「龍華」は、弥勒菩薩が悟りを開くとされる龍華樹(テリハボク)から。現在、境内には牡丹や桜などが植えられ、「花の寺」としても知られる。33世・和田大雅住職は、「お寺の大事な役割は心のよりどころになること。季節ごとの花で、見る人に心を癒してもらえれば」と話す。
寺宝のひとつで、「天平仏」と呼ばれる菩薩坐像(非公開)が見つかったのは1998年。かつて境内にあった塔頭(別院)・福寿院の本尊と見られる。発見時はバラバラだったが、修復により蘇った。今から約1300年前(天平期)の「脱(だっ)活乾漆造(かつかんしつづくり)」という手法で造立されており、東日本での発見は初。もとは畿内の寺院にあったものの可能性が高いが、なぜこの寺に運び込まれたかは、「歴史のミステリー」となっている。
【本尊】大日如来
【宗派】真言宗御室派
【住所・電話】金沢区洲崎町9の31 【電話】045・701・6705
(資料・金沢区仏教青年会
「かなざわ霊場めぐり」1994年)
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