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連載 かねさわ地名抄 第31回「室ノ木」 文・NPO法人 横濱金澤シティガイド協会

公開:2014年6月26日

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野島公園(室ノ木地区)ジープ山
野島公園(室ノ木地区)ジープ山

 現在の瀬ケ崎・室ノ木は、江戸時代までは逗子方面から野島に向かって続く丘陵が海に突き出した半島(岬)で、半島の先の地域が「室ノ木」でした。明治期以降の埋め立てと軍用地化により周辺の景観は変貌。太平洋戦争時には海軍航空隊追浜飛行場の延長として大規模な削平工事が行われたため、住民は四散し、当時のものは残されていません。

 室ノ木の鎮守は「熊野権現社」で、境内にあったムロノキが地名の由来と言われています。その参道入口に観音堂があり「室木庵」と称して、金沢34観音の第9番札所となっていました。江戸時代後期には山頂に「四望亭」という展望台があり、また半島の先端部の断崖を天神崎と呼び、天神の祠が置かれ観光名所となっていました。この付近一帯は「雀ヶ浦」と呼び「雀ヶ浦の一つ松」などの名木がありました。いずれも現存しません。野島と室ノ木間の渡し舟は1944(昭和19)年に橋ができて廃止になりましたが、現在の「夕照橋」は4代目です。

 1953(昭和28)年に発見された「室ノ木遺跡」は県内では出土例の少ない十三菩提式土器が出土したことで注目されました。1970(昭和45)年校庭拡張工事の際に発掘調査が行われ、現在は関東学院人間環境学部内の一角となっています。野島公園(室ノ木地区)に「ジープ山」と称する小さな岩山があり、平潟湾と野島を眺望できますが、その側面に「やぐら」の痕跡が残されています。

 1936(昭和11)年の横浜市編入までは久良岐郡六浦荘村字三分の小字でした。現在は六浦町東1丁目東端とそれに隣接する横須賀市追浜本町2丁目辺りが室ノ木です。

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