発足20年を迎える「草音楽会」代表の 井口 敦さん 能見台在住 62歳
マイナー求める音楽人
○…アイルランドやスウェーデンの民族楽器の愛好家。「ブズーキ」「ニッケルハルパ」など耳慣れない弦楽器は、フォーク音楽のルーツだ。日本で学べない演奏方法は、海外のワークショップに参加して習得した。「現地でもあまり知られていないような楽器なので、歓迎されますよ」。夢中になる理由は「マイナーだから」。「楽器を作成した人と直接やりとりできるのが楽しい」と話す。
○…各国に伝わる音楽の演奏家を集めてコンサートを行う「草音楽会」の代表。元々は「聞きなれない音楽だから、楽しませるよりまずは自分たちが楽しもう」というコンセプトだったが、回数を重ねるごとにファンは増えていった。年2回開催するが、最近は110人のホールが満員に。「続けることで親しまれてきたのかな」と話す。40回記念の音楽会ではジャンル間のコラボを企画。「まったく違う文化で生まれたのに、意外と音色が合ったりして面白いです」
○…30年間東芝に勤め、その後スウェーデン系の建設機械の会社に転職。海外出張が多く、語学力を身に着けた。リタイア後、中小企業振興公社に再就職。企業の技術を海外に発信するため、展示計画やアレンジを行う。海を隔てたやりとりは得意分野。「実は民族楽器の輸入にも役立っているんです」。最近では楽器販売店から、楽器取り寄せの依頼が来るようになった。
○…「人間が作ったものは、作れるはず。同じ人間だから」。そんな発想で、自ら民族楽器の製作を手掛けるようになった。60歳でアイルランドの工房に弟子入りし、その後磯子区に工房を設けた。夢は民族楽器の修理と輸入代行ができる工房づくり。「現地の職人も少なくなっている。修理に困っている人に喜んでほしい」と希望を語る。一方で「できれば多くの人に知られて欲しくない」とも。「やっぱりマイナーなのが好きなので」と冗談めかし、ほほ笑んだ。
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