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「選手と共に育てられた」 今夏で勇退する横浜高校・渡辺元智監督を、仲間、野球人、家族の視点できりとる

スポーツ

掲載号:2015年7月16日号

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この炊事場から選手を見守る
この炊事場から選手を見守る

 横浜高校野球部の寮で選手たちを食事面から支える渡辺元美さん(44)。渡辺元智監督の次女であり、昨年まで一塁手で活躍し、甲子園出場を果たした佳明選手(明治大)の母でもある。

 「小さい頃からここが我が家の生活の一部」と微笑む。選手と寝食を共にし、家にはほぼ帰ってこない父と会える場でもあった。「選手と共に育ててもらった」。生理整頓やマナーなど、生活の規律に厳しかったという監督。指導をそばで見るうちに自然に学んできた。

 「家でもスパルタ。靴を揃えてないと玄関から投げられたり」と笑う。それでも年に数日の休みを使い、旅行に連れ出す優しい父親の一面も。「約束の何十分も前に着くのが決まり」。出発予定のはるか前に空港に到着し、飛行機を変更したこともあったという。「何でもストイックで決めたことは必ず守る。職業病」と呆れるも、言葉に愛情がにじむ。

 記憶にあるのは、家に帰れば野球を観ていた父の姿だ。試合のビデオを見直し、戦術を立て、新聞で教え子の活躍を確認する――。野球一筋で50年貫いてきた父に「情熱とストイックさが途切れないのはすごいし、羨ましい」と尊敬の眼差しを向ける。何千人と送り出した選手も、ほぼ全員の名前を覚えているという。

 選手への思いがにじみ出る話がある。幼い頃は家族が球場に来ることは禁止されていた。「厳しく指導されている姿は見られたくないだろうという選手への配慮だったと母から聞いた」。毎年、県外出身者や寮に馴染めない選手などを自宅に住まわせていたこともあった。

 寮を手伝うようになったのも自然の流れだった。「感謝の言葉はない」と冗談めかすが、「忙しい日は早く寝ろと一言ぼそっと」。監督なりの心遣いだ。佳明選手も幼い頃から野球に囲まれて育った。「ない時間でよく二人でバッティングセンターに行っていた」。そんな孫の入部を心配していたという監督。始まりこそ、距離が掴めず衝突したが「今が一番良い関係」と嬉しそうに笑う。後輩たちの野球について話す二人の姿も。大学での孫の活躍を「ここまでになるとはなぁ、目標高く頑張れと応援しています」

 「家族は体が心配。引退の決断はほっとした方が大きいかな」と心境を明かす。「佳明の試合を観客席からぜひ応援してほしい。やっと時間がとれそうなので」

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