季節の花【14】 代表的な冬の花「ビワ」 「ピイン」「パアン」が語源 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
ビワは区内で庭木として生育していますが、時には山林内で見ることもあります。関東以西から中国大陸の石灰岩の山地に分布し、11月から2月頃にかけて、霜を避けるように下向きに花を咲かせます。寒さによる全滅を防ぐため、花は一斉に咲かず、小花を少しずつ開花させます。そして訪れる昆虫が少ない冬のため、開花期間を長くして受粉の機会を狙っています。
中国文学者の藤堂明保さんは、ビワ「枇杷」の語源について、次のような興味深い内容を書いています。
中央アジアの遊牧民族が馬上で弾き鳴らす楽器「琵琶」は、前に押して弾くのを「ピ」(枇)といい、手前に弾くのを「パ」(杷)といいます。「ピイン」と跳ねて、「パアン」と掻き鳴らすので「ピパ」、ここから「ビワ」と呼ぶようになり、この楽器の胴の部分が木からできているので、木篇(きへん)をつけて「枇杷」と書きました。その後、琴の一種であることから「琵琶」と書くようになりました。またビワの実の形が楽器の琵琶に似ているので、「楽器のビワの形をした実のなる木」という意味から、「ビワ」の名がつけられたといいます。
ビワは日本で10世紀(中国では5世紀)頃から栽培していますが、現在の栽培品種はほとんどが中国産です。「種無しビワ」の改良も研究されていますが、未だ成功していないようです。
次回掲載予定は2月4日号で「アオキ」です。
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