金子さんの草花の不思議発見第18回 カニクサ 葉で巻き付く珍しい蔓植物 文・日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(金沢区富岡西在住)
夏の野外ではクズ、ヤブガラシ、スイカズラ、ヘクソカズラ、ヒルガオ等の蔓性植物が目につきます。他のものに巻き付く蔓植物は、ほとんど茎の部分が蔓になって巻き付きます。自分の体を支える必要がない蔓植物は、その分長く蔓を伸ばしていくことができます。
上の写真2枚(カニクサ=右=とテイカカズラ=左)の蔓の部分を見ると、どちらも茎が巻き付いているようですが、「カニクサ」は茎ではなく葉の一部(*中軸)が巻き付きます。しかも地上部は全て1枚の葉であり、下の写真は1枚の葉のほんの一部分を示しています。カニクサは条件が良いと無限に生長を続けるため、10m近く伸びることがあります。カニクサのように葉の一部が蔓として巻き付くのは非常に珍しく、他の植物ではほとんど見られません。しかしカラスノエンドウのように、小葉の一部が巻き髭となって他物に巻き付く例はよく見られます。
カニクサ(別名ツルシノブ)は石垣や公園で普通に見られるシダ植物で、名の由来は子供がこの蔓を使って、カニを釣って遊んだことからつけられました。
*中軸とは左右に広げた小葉を束ねた中央の軸で、葉柄に繋がる。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|