金子さんの草花の不思議発見!第22回 カキ 梨は尻から、柿は頭から甘くなる 文・日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(金沢区富岡西在住)
青空に赤い実(写真上)が映える「カキ」のお話です。渋柿と甘柿がありますが、甘柿でも熟すまでは渋みがあります。カキの渋みの正体は、「タンニン」という成分が多く含まれているからです。タンニンは未熟の時には、舌の上で水に溶けてその渋みを感じさせますが、熟すと水に溶けにくくなり、渋みが感じなくなります。タンニンは茶やドングリ等多くの植物にも含まれています。
カキは甘味を増していくとき、実の頭部(へたがない部分)から甘くなっていきますが、ナシは逆に尻(軸がある部分)から甘くなっていきます。これを「梨尻柿頭」(りしりしとう)と呼んでいます。この違いは、太陽光を受ける面の位置の違いによるものと思われます。
名の由来は諸説ありますが、一つには「赤い実のなる木」から「カキ」、また紅葉の色と実の色「赤黄」(あかき)から「カキ」といわれています。
日本と中国が原産地で、中国産は甘柿がなく渋柿のみです。日本では弥生時代の遺跡から自生の柿が出土しており、鎌倉時代の文献に甘柿の記述があることから、古くから甘柿の品種改良がされていたようです。
カキを切る時には、頭部にある十文字状の黒っぽい溝、またはそれに続く丸みの所まで四方(八方)に伸びている浅い溝に沿って切ると、種子に当たらずに切ることができます(写真下)。
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