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金沢区・磯子区 コラム

公開日:2020.10.08

金子さんの草花の不思議発見!第47回 クズ
花はレッドワインの香り
文・日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇

  • クズの花(写真上/能見台)とつる(同下/金沢市民の森)

  • 果実(横浜自然観察の森)

 秋の七草の「クズ」はつる性植物で、繁殖力が強く、1日に30cm以上も伸びていきます。茎はつる性のため、自分の体を支える必要がなく、その分のエネルギーを茎の伸長に使うことができるからです。



 花はレッドワインの香りがし、虫を引き寄せ、花の中央にある黄色の部分(蜜がある)へと導いていきます。この黄色の部分を「ガイドマーク」といい、蜜の在処(ありか)を示し、人には見えない紫外線を出して、これを識別できる昆虫に知らせています。



 万葉の時代から秋の七草のひとつとして数えられてきましたが、その当時の和歌では「ま葛延(は)ふ夏野の繁く…」というように、野の草が長く伸びて這って行くときの形容句として詠まれていました。



 昔から根はくず粉や葛根湯の材料として、食用や薬用に用いられ、茎の皮は織物として、茎と葉は家畜の飼料として利用され、その他観賞用や緑化にも役立つ有用な植物です。またどんな症状にも、葛根湯を処方する医者を「葛根湯医」と呼び、藪医者の代名詞に扱われていました。

 

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