全国における生活保護受給世帯数は2012年3月時点で152万世帯と過去最多を更新するなか、港南区でも約2000世帯に上り、過去10年間でほぼ倍増していることが分かった。
横浜市全体の受給世帯数は今年5月時点で4万9968世帯。2002年度末には約3万世帯で、10年間で約1・7倍に増加した。区別にみると、最多は中区の8304世帯、次いで南区(5566世帯)、鶴見区(5320世帯)となり、都筑区は1047世帯と最も少ない。一方、港南区では1968世帯と市平均2776世帯を下回るが、増加率は同期間で約1・9倍と市の数値を若干上回る。
市では1984年7月から減少傾向が続いていたが、92年6月以降から増加。「リーマンショックのあった2008年から急激に増えた」と市が分析するように、区内でも過去10年間では毎年50世帯から100世帯の増加だったのが、09年度末には前年比で171世帯増、10年度末には同じく164世帯増と、その影響が顕著に表れる結果となった。
高齢者や障害者が約8割
また、区内では高齢者のほか、専門の大きな病院があることから精神障害者の受給者が多いのが特徴。11年度末には1949の受給世帯のうち、高齢者が773世帯(約40%)、障害者と傷病者が654世帯(約34%)となっている。
また、区内の世帯に支払われた保護費として公表されている最新の統計データによると、10年度は約25億円。そのうち、食事や被服費、光熱水費等の「生活扶助」(約15億円)、家賃や住宅補修費等の「住宅扶助」(約8億円)の2項目が大部分を占めていた。
社会的自立も支援
そもそも生活保護制度とは、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を送ることができるように保障するもの。受給要件をクリアし、厚生労働大臣が定める基準で算出される最低生活費の額に世帯収入が満たない場合に保護が適用される。
この制度は受給者の自立援助も目的。港南区では25人のケースワーカーのうち22人がそれぞれ担当地域を持ち、高齢や障害のある受給者に活躍の場を与えるといった「地域社会での自立」を支える。だが、1人のケースワーカーが受け持つ受給者は約90人。今年4月からは3人が増員されたが、区によると「まだまだ足りない状況」という。
また区では、病気等から回復した受給者の就労支援にも積極的。「失業を理由に保護を受けるようになった受給者も増えている。病気から回復され、就労を希望される方の支援にも力を入れなくては」と、3人の専門員を配置して対応にあたっている。
受給への誤解を危惧
最近は芸能人の母親のケースにより、マスコミで不正受給が取りざたされている。これについて区は、「不正受給は今に始まったことではないが、不景気という世の流れもあって世間の目が変わってきているのかもしれない」と語る。
その一方、「ほとんどの申請者が本当に受給を必要とする方」として、「報道によって、あたかもすべての受給者が不正であるように疑われ、社会の目がきつくなると申請がしづらくなってしまう」と現在の風潮に危惧する。また、「先の光が見えない世の中で、ますます生活保護の必要性は高まってくるのではないか」と話していた。
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