港南台にあるコミュニティカフェ「港南台タウンカフェ」(齋藤保代表=写真)が、開設から10年を迎えた。自立した運営方法を確立し、地域の人材や施設、団体などをつなぐ取り組みは、コミュニティビジネスのモデルケースとして広がりを見せている。
タウンカフェは2005年10月、齋藤さんが代表の(株)イータウンと横浜港南台商店会、NPO「まちづくりフォーラム港南」の3団体が連携して運営する形で、港南台駅前のブックスキタミ2階に開設された。
タウンカフェは市民活動の連携やサポートを行う同NPOが構想していた「地域交流拠点」を基にしたもの。同NPOのメンバーだった齋藤さんが、インターネットでまちの情報を伝えることをきっかけに02年に起業し、同商店会のホームページ管理業務を受託したことで、構想が実現した。カフェサロンの中に同社の事務所、商店会とNPOの事務局を兼ね備えた事務所兼交流拠点のタウンカフェが誕生した。
キャッチフレーズは「cafeから始まるおもしろまちづくり」。集いの場となるカフェサロンや、手作り作品を並べる棚を出店ブースとして貸し出す「小箱ショップ」、地域情報サイト「こうなんだいe-town」などによる情報発信、地域交流イベントの企画運営を事業の主軸としてまちづくりを担うことになった。
収益得て自立運営
開設から2年間は横浜市の「商店街空き店舗活用事業」による補助金を受けていた同拠点だが、当初から自立した運営を目指していた。地域に必要とされるコミュニティビジネスだが、補助金に頼る運営体制では継続が難しいためだ。タウンカフェの現在の事業収入は、小箱ショップのスペース利用料などタウンカフェ事業で約9割。港南区民活動支援センターのブランチ事業による補助金(08年度〜)や寄付などと合わせて運営体制を確立している。
一方、多彩な人材も運営の鍵となっている。まちづくりへの思いを持った学生や主婦、地元企業などボランティアスタッフをはじめ、イベントでたまたま手伝った人など、多くの人がタウンカフェに関わっている。
07年から始まった「キャンドルナイトin港南台」はその一例。小箱ショップの作家の声から生まれた街の活性化イベントで、40社以上の企業や団体が賛同・協力するほか、運営には市民ボランティアや地元小学生まで携わる。「タウンカフェというきっかけ、場があったことでいろいろなことが始まった。10年前は曖昧だった地域資源をつなぐ役割を果たしていると思う」と齋藤さんは分析する。
各地の支援も
横浜市や経済産業省のコミュニティビジネス支援事業などに齋藤さんが携わったことをきっかけに、各地のまちづくり支援活動にも着手。東日本大震災被災地支援では、タウンカフェで被災者の手作り作品を販売するほか、研修受け入れも行うなど、コミュニティビジネスのモデルケースとしてタウンカフェの取り組みは広がりを見せている。
齋藤さんは今後のタウンカフェについて「1人の市民が提案する課題や夢物語にでも、『いいね』と言い合え、市民レベルで実践する場にしていきたい」と展望を語った。
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