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港南区・栄区 社会

公開日:2025.07.24

栄区焼きそば大会を検証 コレ 気になってます!
求められる次のステップ
地域の担い手確保

  • 他会イベントで焼きそばを焼く湘南桂台自治会のメンバー

  • 第1回大会時

 栄区が2023年から行っている「連合自治会町内会対抗焼きそば大会」。区内7つの連合自治会町内会が焼きそばを作り、味を競うイベントだ。目的は地域の新たな担い手の発掘。過去2年間の取り組みについて、成果と現状を調べた。

◇ ◇ ◇

 栄区は市内でも高齢化率の高い地域。自治会町内会関係者からは「担い手が不足し、活動に影響が出ている」といった声が聞かれる。

 こうした状況に対し区はこれまで、「街づくり」などをテーマにした講座を開催し、地域活動への参加を促す取り組みを行ってきた。しかし、講座に参加しただけでは自治会町内会との強い関わりを得られず、実際の活動につながらないことが課題となっていた。

 そこで、2023年に「地域活動への意欲がある人」と自治会町内会を結ぶ手段として「焼きそば大会」を考案。これまで地域活動に参加してこなかった人が自治会町内会関係者と焼きそばを作る中で交流し、活動に参加しやすくなることを期待した。

 具体的な取り組みは年2回。夏の「焼きそば名人育成講座」と冬の大会だ。冬に焼きそばを焼きたい人はまず、夏の講座に参加。自分の住む地域の自治会町内会関係者などから作り方を習い、同時に交流を深める。そして、冬の大会ではチームとして共に調理を行い、さらに関係を強化。このプロセスを通じ、参加者は地域活動に関わりやすく、自治会町内会関係者はイベントへの協力を要請しやすくなることを想定した。また翌年以降は自治会町内会関係者として講座に参加する。

 テーマを焼きそばとしたのは、調理に馴染みがあり参加のハードルが低いと考えられたため。また、栃木県宇都宮市が市職員の働きかけから「餃子で町おこし」を行ったことを例に将来的には地域の名物になることも期待した。

 今年は取り組みの3年目。7月5日に行われた名人講座には35人が参加した。大会は11月24日に予定されている。

定着は依然課題

 講座には例年30から40人が参加。区担当者は「ちょうどよい人数」とする。課題はやはり定着化だ。区は「講座参加後に実際に地域活動をしている人が少ない」との認識を示す。「連合や単会の祭りの際に焼きそばを焼く」などを想定しているが、実現していないケースが多いという。そもそも、「大会で焼きそばを焼くこと」や「参加賞のタッチーくん(いたち川マスコットキャラクター)柄のエプロンをもらうこと」を主目的に参加する人も。「講座後も自治会町内会側が積極的に地域活動への参加を呼びかけ、つなぎとめるアプローチをいってほしい」と継続的な関係維持を期待する。

 一方、「参加を呼びかけたくても、焼きそばを焼くようなイベントがない」。こう話すのはある連合自治会町内会会長。既に担い手不足により地域の祭りなどを実施していないケースがあるためだ。「必要な時には連絡を取れる関係性になっている。こうした人が増えればイベント復活もあり得る。大会は担い手不足解消に有効」とするものの、年2回の区主催イベントだけで関係性を維持できるかは不明だ。実際、区が講座後に参加者に行ったアンケートでは「新しい人が入りにくい雰囲気がある」「もう少しコミュニケーションを取れる時間があるといい」との意見もあり、自治会町内会と参加者のさらなる関係性の構築が必要なことが伺える。

成功事例も

 中には定着に成功しているケースもある。本郷中央連合町内会自治会の湘南桂台自治会では、名人講座後、5人が定期的に地域活動に関わっている。同会では黒川哲明副会長と5人でLINEのグループを作成。会主催のイベント(年2回)で焼きそばを焼くのはもちろん、要請があれば連合内の他会イベントにも”出張”して調理する。区主催イベントを含め活動は年6回ほど。参加している25歳の男性は「顔を合わせる機会が多いことで、関係性ができて参加しやすくなる」と活動に満足している様子だ。

 講座への参加者は一定数おり、地域活動への一歩として根付きつつある。しかし、その後の参加者と自治会町内会との付き合い方はエリアによりまちまち。区と自治会町内会が共に”次のステップ”を模索していく段階に進んできている。

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