市立野毛山動物園(西区老松町・市川典良園長)で3月10日、2012年度の年間入園者数が90万人に達した。1984年以来、28年ぶり。99年度の35万人までの落ち込みから徐々に回復している。その背景には、08年から指定管理者として同園を運営する公益財団法人「横浜市緑の協会」による、サービスの充実化などがあるようだ。
今年度、同園では春先からアカエリマキキツネザルやアビシニアコロブスなどの赤ちゃんが次々と誕生。5月には金環日食に合わせ早朝開園を実施し、来園者を楽しませた。また12月には、かねてから長寿ラクダとして有名なメスのフタコブラクダ「ツガル」が37歳(推定)を迎え、世界最高齢記録を更新した。
昨年からは情報配信にも力を入れており、ツイッターやフェイスブックで動物たちの動向をこまめに公開。その他、動物たちの食事の時間に担当の飼育員が解説を行う「お食事タイム」を毎日実施するなど、来園者がより動物に親しめるよう工夫を凝らしてきた。
こうした話題づくりや広報活動が実を結び、一時は35万人(99年度)にまで減少していた来場者数が徐々に回復。市川園長は「いつも元気な姿をみせてくれる動物たちや、地域の方々の協力のおかげ。これからも子ども達が絵本で見るような親しみのある動物を紹介し、愛される施設を目指します」と喜びを語った。
運営費約4億円
同園は51年に、動物園と遊園地を兼ね備えた「野毛山遊園地」として市が設立。遊園地を閉鎖した64年から入園料(開園当時10円)が無料になり、横浜市民の大切な憩いと学びの場として存在してきた。客数の低迷や他動物園の新設による閉園の危機を乗り越え、08年からは公益財団法人「横浜市緑の協会」が指定管理者として運営している。
同園をはじめ、金沢動物園とズーラシアを管理運営する緑の協会。3園の指定管理料は年間約19億円(野毛山公園・金沢自然公園含む)。そのうち約4億円が野毛山動物園の運営に充てられている。
維持管理の充実のために利用者からは有料化を希望する声もある。しかし市川園長は「『誰もが気軽に』をコンセプトに、入場料無料を貫きます」と話している。同園では入園料に代わり、募金箱の設置や支援金を募る「アニマルペアレント」制度などを導入。今後も収入の多角化に取り組む方針だという。
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