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公開日:2025.11.13
本牧 気まぐれ歴史散歩 95
山あて 漁師たちのGPS
現在では、スマートフォン1台あれば、陸上は勿論のこと、海上でも空の上でも自分が今どこにいるのかを正確に知ることができるようになりました。このグローバル・ポジショニング・システム(GPS)は、地上から約2万Km上空を飛ぶ4つ以上のGPS用人工衛星からの電波を受信し、各衛星からの距離を測定することで、瞬時に地上の空間のどの位置にいるのかを計算して求めているそうです。
本牧地先や根岸湾が埋め立てられる前の漁師たちは、海から見える陸上のいくつかの目標の重なり具合を見ることによって、自分が今、海上のどの位置にいるのかをきちんと把握していました。これは山あてと呼ばれる位置確認方法で、例えば図上のACが重なるラインとFHが重なるラインの交点にいるから、海底はちょうど―10mとなる場所にいるという具合です。さらに漁師たちは、自分がいる海底の地形はどのようになっている場所なのかを正確に把握し、そのときの海流や海水温、風の向き、雲の流れ、さらには月の満ち欠けから、天候や潮の満ち引きを予測して、今ならこの場所でどんな魚介類が獲れるのかまでの情報を、経験から導き出して、魚介類を獲っていました。漁師たちの経験と勘は現在のスーパーコンピューター以上だったかもしれません。
次回はFの位置にあった二つ岩近くの地上に戻って、根岸駅方面へ歩いていこうと思います。(文/横浜市八聖殿館長 相澤竜次)
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