国登録有形文化財
山手の２建造物が答申
外国人住宅として貴重

河合家住宅（上）と中嶋家住宅＝市教委事務局提供

　旧山手居留地＝中区＝にある河合家住宅（旧横浜市営外国人住宅）と中嶋家住宅（旧ピゴット邸）のそれぞれの主屋が、３月17日の国の文化審議会の審議・議決を経て、国の登録有形文化財（建造物）に答申された。

洋館は市内初

　今回の答申が通った場合、市内の洋館が国の登録有形文化財に登録されるのは初めてとなる。

　登録有形文化財は、原則として建設後50年を経過した上で、国土の歴史的景観に寄与、造形の規範、再現することが容易でない、のいずれかに該当する建築物や土木構造物など。

　答申された河合邸は中区山手町の南部丘陵にある洋風の木造の平屋住宅。関東大震災から６年後の１９２９年に横浜市が建築した。柱頭飾り付円柱の玄関ポーチが特徴的で、内部は居間中心の平面。居間と食堂には暖炉を備えている。

　中嶋邸は１９２５年に建てられた木造２階建ての洋館。大きな切妻屋根と太い円柱の玄関ポーチが特徴的で、室内は出窓付きの食堂を中心に諸室が配置されている。応接間と食堂、居間には暖炉を置いている。２階には屋根裏部屋の個室があり、南側はガラス越しに日光を浴びることのできるサンルームとして使われていた。昭和以前に建てられた洋館として貴重な建造物。以前は持ち主が異なり、宇田川邸と呼ばれていた。

　河合邸は旧横浜市営外国人住宅で、中嶋邸は個人が建てた外国人住宅。今回の答申は所有者らの意向を受けて行われた。

　現在、建造物の国登録有形文化財は１万３６３７件。中嶋邸と河合邸は市の認定歴史的建造物として１９９４年度、２０１２年度にそれぞれ登録されている。

　この他に今回、總持寺＝鶴見区＝の仮真殿と虎嘯窟渡廊下（こしょうくつわたりろうか）も答申された。これらが登録されると、市内の国登録有形文化財（建造物）は43件になる。