「平成」の30年間の中ではさまざまなものが大きく変化した。生活に密接な「買い物」もその一つ。大型ショッピングセンターは街並みだけでなく人々の行動をも変え、買い物だけでなく、流行や食にふれる場にもなっていった。また、他方ではインターネットの普及により、家の中にいたままで買い物ができるような時代にもなった。
そんな変化の一方で、時代と共に衰退していった文化もある。その一つが商店街ではないだろうか。平成元年(1989年)には市内に商店街は423カ所あったが、減少を続け、平成30年(2018年)には256カ所へと半数近くとなっている(数字は市商店街総連合会加盟の商店街数)。
かつて多くの人が利用し、活気にあふれていた商店街だったが、大型店との価格競争による疲弊や後継者不足による店主の高齢化など、さまざまな課題が浮き彫りになった。さらに1つの店の閉店が街の活気や利便性に影響することで、次の閉店を招く「空き店舗問題」から、いわゆる「シャッター街」となるケースも少なくない。
空き店舗対策に工夫
空き店舗問題の対策に積極的に取り組んでいるのが、神奈川区の六角橋商店街だ。商店街内の店舗が閉店した場合に店の権利を商店街で買い取るというもので、同商店街会長で市商連会長でもある石川清貴さんは「賃貸に出すなど、物件の活用法はある。新規出店募集の店舗を商店街が決められるので、商店街全体のバランスをとることもできる」とメリットを語る。
外国人取込みに好機
一方で、在日外国人や訪日観光客と良好な関係性を築いているのが南区の横浜橋通商店街だ。周辺には中国をはじめとするアジア圏の住民も多く、現在は商店街店舗の1割〜2割を外国人店主が経営しているという。
外国人店主の出店受け入れによって、空き店舗は130店舗中10件と比較的低い割合にとどまる。同商店街の高橋一成理事長が「この状況は新たな外国人客を取り込む一助になっている」と話すように、これらの店舗を目当てに商店街に訪れる外国人観光客も少なくないという。
実際にフィリピンから日本に移り住んだ女性は「商店街はいくつもの店を見て品物を選べるし、店主と話しをしながら調理法や商品の知識を教えてもらうこともできるのがいい」と日常的に商店街での買い物を楽しんでいるようだ。
「本気が試される」
市経済局のアンケートによると、「経営者が65歳以上の店舗が6割を超える」という商店街が24・4%と最も多く(平成27年度)、このままでは遠くない将来に多くの商店街が自然消滅の危機にさらされる。
「にぎわいを出すためには、商店街の本気が試される」と石川さん。「商店街の若返り=若い世代の出店」を促すためにも、一つひとつの課題解決が鍵になるだろう。
この連載では今年5月に元号が「令和」へと変わるのを機に
さまざまな切り口から「平成」の時代を振り返ります。
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