南消防団(涌井正夫団長)では初めての高校生団員が8月1日に誕生した。入団したのは別所在住で県立横浜清陵高校3年生の笠原幹弘さん(18)。現在、市内消防団で高校生は笠原さんだけ。将来、消防職員を志しており、すでに危険物取扱や救急に関する資格を取得している。「経験を積み、研さんしたい」と意欲を見せており、若者の団員確保が課題となっている消防団も「高校生の入団は刺激になる」としている。
笠原さんは2001年7月16日生まれ。祖父が大岡消防団(現・南消防団)で活動していたことを母親から聞くなどして、子どもの頃から消防に興味を持っていた。消防団員が訓練の成果を披露する毎年1月の出初式を「5、6歳の時に初めて見た」というほど。早くも「将来は横浜市の職員として消防士になりたい」と目標を明確にしている。「消防職員になるために経験を積めればと思って入団を決めた」という。消防団の入団資格は18歳以上で、7月に18歳になったことから入団の手続きが進められていた。
南消防署によると、現在、笠原さん以外に市内に高校生の消防団員は在籍していないという。ほかの消防団ではこれまでに数人の高校生団員が活動していたが南消防団では初めて。
すでに国家資格
将来の目標実現を目指し、すでに国家資格の危険物取扱者の一部などを取得している。南消防署の小出健署長が「高校生でこの資格を取得している人はほとんど聞いたことがない」と話すように、消防職員や消防団員も意識の高さに驚いている。救命に関する資格も持ち、昨年5月には路上で倒れている人に対して心臓マッサージを行い、救急隊に引き継ぐまで心肺蘇生を試みた経験もある。
「先駆者になって」
8月1日に南消防署であった辞令交付式で涌井団長は「初の高校生団員として、先駆者になってほしい」と期待の言葉をかけた。笠原さんが所属する第六分団の坂本勝分団長は「ベテランの70歳近い団員もいる中で、笠原さんと共に絆を深めたい」と話した。
笠原さんは「消防団は地元に密着していて、以前から心強い存在だと感じていた」と話す。高校卒業後は専門学校への進学を検討しており、公務員になるための勉強に励みたいという。
若者団員確保に弾み
条例で決められた南消防団の定員は395人。昨年11月に初めて定数に届いた。今年3月末で70歳の定年を迎えた団員がいたこともあり、現在は定数に数人足らない状況だが、団員が声掛けを積極的に行っており、入団検討者が増えている。
会社員の団員が多数を占めていることから、特に日中に活動できる若者の入団を望んでいる。署と消防団で区内の高校を訪れ、生徒に消防団活動を説明したり、校内にポスターを掲示する取り組みを強化してきた。大学・専門学校生の団員は15人いる。涌井団長は「笠原さんが活動する姿を見て、消防団に興味を持ってくれる高校生や若い人が増えれば」と期待する。
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