大岡2丁目の路上で8月9日夜に発生した連続切り付け事件は、発生翌日の午前中に容疑者の男が逮捕された。容疑者と面識のない2人が相次いで刃物のようなもので切られるという事件が発生から約半日で解決したことに現場周辺から安堵の声が聞かれた。一方、事件発生後の市民への情報提供は警察からのメールだけで、容疑者が逮捕されてから事件を知った人もおり、「こういう時は早く知らせてほしい」と訴える人もいた。
発生半日で解決
南警察署によると、事件は南警察署から旧道へ向かう大岡2丁目の路上で9日午後7時14分、19分ごろに発生。マンション1階付近で運送業者の男性が後ろから来た男に刃物のようなもので右脇腹を刺された。そこから約70m離れた路上で帰宅途中の公務員の男性が正面から来た男に腕や手の甲を切られた。被害者2人はいずれも軽傷。
警察は切り付けた後、逃走していた近くに住む男を10日午前に最初の男性への殺人未遂容疑で逮捕した。
事件発生直後、現場付近を通った近くに住む男性は「警察署の目と鼻の先でこんな事件が起こるとは」と驚くのと同時に、「犯人が逃げているなら怖い」とも話した。容疑者逮捕の報が流れた後、子どもを持つ母親は「これで安心して外出できる」とほっとした表情だった。
「不安あおらず」
警察は事件発生後、事前に登録した人に子どもに対する声かけや不審者情報などを知らせる「ピーガルくん子ども安全メール」で事件の概要を発信。学校と警察の連携を図るために設けている「学校警察連絡協議会」と市危機管理室にも情報を伝えた。南署は「区民の不安をあおらないよう、必要最低限の連絡にした」という。
事件対応規則なし
危機管理室からの情報は南区役所に伝えられた。区は犯罪や防犯情報を登録者にメールで配信することや大規模災害発生時などに情報を発信するツイッターアカウントを持っているが、今回はいずれも使われなかった。区担当者は「市防災計画に基づき、災害に関する情報の発信は行っているが、今回のような事件に関する明確な規則はない」という。区民への情報発信は「社会的影響力が大きい場合」という方針だ。
今回は夏休み期間中で学校に人が入らない「閉庁期間」であったことから、学校を通して児童・生徒や保護者に事件が伝えられることはなかった。
川崎市多摩区で登校中の児童が殺傷されるなど、住民が不安に感じる事件が続いている。小中学生の子を持つ母親は「警察からのメールが届いたのが午後10時でその前にニュースで事件を知っていた。もっと早く知らせてくれれば」と話した。
今回事件では発生から逮捕までの半日以上、刃物を持っているかもしれない犯人が区内を逃走していた可能性もある。町内会長を務める男性は「ニュースを見た人から聞いて事件を知った。どうなっているのか、犯人が逃げているのか全く分からないのは不安」と話し、事件当日夜には南署を訪れ、顔見知りの署幹部に状況を聞いていた。
南署は「区民の安全を脅かす事件を迅速に解決できるよう、今後もパトロールを強化したい。町内会など、地域と情報共有できる体制を作りたい」としている。
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