井土ヶ谷下町の飯村喜代子さん(80)が心に残った知人の言葉を詩にまとめ、吉野町駅の改札口そばに展示している。
飯村さんは41年前、小学5年生の長男が持久走の授業中に倒れ、心不全で亡くなったことをきっかけに、その後、子どもの言葉を書にして残す活動を始めた。読売新聞に掲載されている子どもの詩を色紙に書き、学校に贈ることもしている。
2011年には、東日本大震災で被災した子どもたちの詩を、自身が経営していた六ツ川1丁目のコーヒー豆店「まめや」に展示。作品を2点作り、1点は学校などに贈り、自分の詩が展示されていることを知った仙台市の保育園児の親子が訪れたこともあった。
今回の詩は、飯村さんが犬の散歩中に出会った人と会話する中で印象に残った言葉をまとめ、イラストを添えたもの。コロナ禍でも前向きな気持ちになれる24点が同駅に並んでいる。「陰口はいけない」など、人間関係を良好にするメッセージを中心に書いた。
自身の経験もとに
飯村さんは20代のころに、職場でいじめに遭った経験がある。当時は新人で慣れない業務に取り組む中、先輩から理不尽な要求などを受け、そのストレスで円形脱毛症になった。「頭では分かっていても体が言うことを聞かない時期が続いた」と肉体も精神も追い込まれていたという。
そういったつらい日常でも明るく振る舞えたのは友人との会話だった。「誰かに悩みを相談することで精神状態が保たれた。友達の励ましの言葉が困難を乗り越える力になった」と当時を思い出しながら語る。「学校、会社などでの人間関係に悩んでいる人は多いと思う。自分自身、今でも言葉に救われているので、皆さんにも『言葉の力』を感じ取ってもらえれば」と話している。
恩返しの気持ちを
80歳の飯村さんだが、これからも詩を書き続けたいと意欲を示す。その高いモチベーションを支えるのは地域の人々。「以前、落とし物をした際に日枝小学校の児童と保護者の方が拾ってくれた。それをきっかけに校長先生とも交流が生まれて楽しい時間が増えた」と話し、地元に恩返ししたいという。
作品は吉野町駅の改札口近くに6月30日まで展示している。詳細は飯村さん【電話】090・3694・5308(午前9時〜午後5時)。
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