〈連載〉さすらいヨコハマ49 アジサイの季節 大衆文化評論家 指田 文夫
すこし季節が過ぎてしまったが、横浜の各地でアジサイが咲いている。アジサイは、梅雨の季語とのこと。
映画『あじさいの歌』は、石原裕次郎と芦川いづみの1960年の作品で、深窓に父親の東野英次郎とひとりで住んでいる芦川が、次第に裕次郎に心を開いていくストーリー。監督・滝澤英輔の抒情的な作風が非常に好ましい作品である。東野は、妻の轟由起子に裏切られたことから女性不信の男で、芦川を豪邸に閉じ込めている。このようにアジサイは抒情的な象徴とされることが多いが、反対の意もある。
永井荷風の原作を映画化した、監督・成澤昌茂の『裸体』は、次から次へと男を遍歴する女性が嵯峨三智子で、多情を現わすものだそうだ。そのこころは、色を変えるとのことだ。(文中敬称略)
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