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公開日:2022.03.10

唐沢横浜植木
「種なしピーマン」で表彰
世界初の快挙、新需要に

  • 表彰状を持つ伊藤社長(右)と社員

  • 品種登録された「タネーラ」

 唐沢の園芸会社「横浜植木株式会社」が、世界初の種なしピーマンを開発した功績が評価され、昨年、農林水産省から表彰を受けるなど注目されている。従来のピーマンに比べて苦みが少ないことから、子どもが食べやすく、新たな需要を生み出せると期待する。

子どもの成長考え

 同社は1891年創立。海外交易が盛んではなかった明治中期から植物類の輸出入業務を行うなど、各国の園芸文化に影響を与えてきた。また、食文化の発展にも貢献。1965年に静岡県菊川市に研究農場を開設し、野菜などの品種開発に力を入れている。

 90年代、多くのビタミンやミネラルを含む機能性野菜で、子どもの成長を支えるピーマンに注目した。伊藤智司社長が研究開発に従事し、2010年に世界で初めての種なしピーマン「タネーラ」を完成させた。

 「タネーラ」は、無花粉となる「細胞質雄性不稔」と未受精で着果する「単為結果性」の特性を利用し、作られる。従来のピーマンに比べて苦みが少ないので子どもが食べやすく、肉厚なことから青果物としての評価が高い。

 種なしの果菜類は調理しやすく、ごみが少ないため、環境にやさしい。外食産業からの需要が見込まれることも評価され、昨年、農林水産省から「農林水産研究開発功績者表彰」と「園芸研究功労賞」が贈られた。

 「タネーラ」は今年2月7日に品種登録された。同社が家庭菜園向きの育てやすい種子を集めた「ベイファームシリーズ」に名を連ねる。「タネなっぴー」として、オンラインショップで販売されている。

地域貢献に一役

 同社は本牧山頂公園=中区=など、市内9カ所の公園を指定管理し、公園の清掃を社員が行うこともある。子ども向けの花植え体験会のほか、健康増進やストレス解消を目的としたヨガなどを主催。公園を地域交流の拠点として活用する。

 会社のある地域の中村地区連合町内会との間で覚書を締結し、南区初となる企業と町内会の災害時協力体制を構築。火災が発生した場合、住民の避難誘導などを行う。消防団協力事業所に認定され、一部の社員が団員として活動に励む。

 伊藤社長は「関係各所と連携を深め、地域の役に立つ取り組みを継続し、日本の食を支える研究開発に努めたい」と話している。

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