権太坂小学校の教員で理科教育改革を進め、日産財団理科教育大賞の受賞に尽力した 佐藤 真之さん 新桜ヶ丘在住 40歳
「なぜ」を突き詰める
○…「問題を解決する能力と論理的に考える力が必要なんです。子どもたちに夢をつかんでほしいんでね」。発する一つひとつの言葉の力強さに「熱血先生」の雰囲気が漂うが、テレビドラマなどに登場するそれとは少し趣が異なる印象だ。理科の学力が低かった権太坂小学校で、理科教育に民間企業的な経営手法を取り入れるなど「改革」プロジェクトに積極的に取り組み、高い評価を受けた。
○…大学時代に経験した自分と同世代の青年が経営する塾でのアルバイトがその後の人生に大きな影響を与えた。「自分の力がどこまで通用するのか試したい」と大学卒業後、ベンチャーキャピタルに就職し起業。「根拠のない自信で、行け行けドンドンだった」1年目を黒字で終えたが、2年目に倒産の危機に陥った。「自分たちの給料はもちろん出せなかったですけど。2万円だけ利益が生み出せた」。豪快に笑って話す姿に、若き日のこの経験が身となり骨となり、その後の人生の屋台骨となっていることが垣間見える。
○…起業前から30歳を節目と定めていた。その年を迎え、第2ステージを見据え始め、学生時代に思い描いたもう一つの夢「教師」の道を歩むことを決意。横浜市が募集していた教師塾で学ぶと同時に大学に進み教員免許を取得。新任教員として教壇に立ったのは31歳の時だ。理科教育改革に取り組む権太坂小に3年前に赴任。「自分の経験を活かすチャンス」。プロジェクトで中心的役割を担い、会社運営で培ったスキルを教育現場に落とし込んだ。
○…大人の社会でもそうであるように、失敗を恐れ発言を控える風潮が教室の中にもある。「学校というのは失敗する場。失敗した時に、その原因、根拠を考えることが大切だ」。子どもたちには常々そう伝える。「根拠のない自信」を胸に突き進み、失敗を繰り返しながら歩んできた体験から得た言葉だからこそ、子どもたちの心に響くのだろう。
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