鶴見区版 掲載号:2017年9月10日号

世界をけん引する技術力 社会

人を気遣う先端企業たち横浜商科大学・桐田 直弥

段差も軽々なWHILLを試乗する学生記者
段差も軽々なWHILLを試乗する学生記者
人と地球を健康にする「ミドリムシ」

 JR鶴見小野駅徒歩5分にある(株)ユーグレナの中央研究所。同社は、さまざまな可能性を秘める藻の一種「ミドリムシ」などを活用した食品や化粧品の製造・販売、バイオ燃料の研究開発などを行う会社です。

 ミドリムシに着目した理由は2つあると研究開発部研究企画開発課の阿閉耕平さんは言います。1つ目は創業者で代表取締役社長の出雲充さんがバングラデシュを訪問した際、食事はあるが栄養が足りないという現地の栄養失調問題に直面したこと。2つ目は研究を進めるなかで、ミドリムシから抽出した油脂が燃料として優れていることに注目したそうです。

 ミドリムシは動物と植物の両方の性質を備えています。ビタミン、ミネラル、アミノ酸など、実に59種類もの栄養素を持つだけでなく、油脂を作り出す性質を持つことからバイオ燃料としての利用が可能です。また、ミドリムシから抽出した油脂は軽質であるため他の微細藻類に比べジェット燃料に適しています。

 同社は、昨年度鶴見区と横浜サイエンスフロンティア高校と協働で、区内小学生対象の体験授業を行うなど、地域との交流も実施。また地域だけでなく、バングラデシュの子どもたちへミドリムシクッキーを届ける事業も行っており、昨年度は約165万食分を配布したそうです。

 世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功した同社。今後は、2020年までにバイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指します。

人の身近にある乗り物

 ユーグレナ中央研究所と

同じ敷地にWHILL(株)があります。WHILLの名前の由来は、未来(Will)と車いす(Wheelchair)を組み合わせた造語です。プロジェクトの始まりは、「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」という車いすユーザーからの一言だったそうです。

 WHILL営業・マーケティング部の木戸奏江さんは「全ての人の歩行を便利にしたいという思いがスタート地点。車いすという言葉を使わずに誰もが乗ってみたいと思えるデザインを重視した」と話します。斜めに白いラインを入れ、利用者の日常に溶け込むパートナーとして、これに乗って出かけたいという気持ちを引き出すデザインを目指したそうです。

 ユーザーからは、「かっこいい」などと周囲から声をかけられることで、明るい気持ちになれるという声も上がっています。優れた技術だけではなく人の気持ちを考え、人の人生を明るくする次世代の乗り物だと思います。試乗希望者は、WHILLコンタクトデスク【フリーダイヤル】0120・062・416にお問い合わせください。

取材に答えるユーグレナ阿閉さん
取材に答えるユーグレナ阿閉さん

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