医師に看護師、各種専門スタッフから事務員まで、計約1700人が従事する済生会横浜市東部病院(三角隆彦院長)。現場では、徹底した感染症対策を常に更新させることで、診療体制の維持に努めている。「地域の中核病院として倒れる訳にいかない」。その信念が、現場を支える。
東部病院は、高度急性期医療を担う横浜市東部の地域中核病院。
同院のコロナとの闘いは、2月にダイヤモンドプリンセス号が大黒埠頭に着岸した時から始まっていた。「初めから対岸の火事ではなかった」と三角院長が言うように、市中感染が広がる前から情報を収集。来たるべき時に備えた。
3月中旬には院内に感染症対策本部を設置。その時々の状況に応じて、毎日会議を重ねてきた。
「院内に持ち込まない、そして広めない。通常の医療に問題があってはいけない」と三角院長。未知のものに対抗するため、院内への情報発信にも気を配り、院長らが外部会議などで得た最新の情報を機会があるごとに周知し、方向性を示してきた。
全員感染を念頭
外来だけでも毎日1千人以上が来院する同院。対策は、同院の感染管理対策室副室長で、神奈川県の感染症対策指導チームの一員でもある大石貴幸氏が指揮を執る。
「無症状者や軽症者を明確に選別する方法は現状ない」と大石氏。そのため、「全ての人が感染しているかもしれないと考えるのが一番」としながらも、限りある資源を守ることも必要として、同院では守るべきルールを設定した。
来院者、職員のすべてにマスク着用を促す。職員は食事以外は常にマスクを着け、食事もひとりで食べる。疑いがある患者が使用した部屋や、感染管理対策室が必要と判断した場所には紫外線を照射するなど徹底。そのほかにも、面会は3月2日から原則禁止としたままだ。
基本的な対策ばかりだが、5月に職員一人が院外で感染したときも、徹底ぶりが奏功し封じ込めに成功。この一人以外に感染者を出していない。
外来新患が半減
全国の医療機関同様、受診控えは、東部病院も同様にある。外来の新規患者数は6月だけみても、今年は1400人以下と、約3000人だった昨年と比べ半数以下に落ち込んだ。
同院は「痛みなどを我慢するのは危ない。100%とは言えないが、対策は十分に講じているので、安心して受診してほしい」と呼びかける。
対策の更新は「ワクチンが行き渡るまで」と同院。緊張感のある現場で最善を尽くしていく。
「患者さんのため」一層強く東部病院看護師 クレームに支援、コロナで一丸
「落ち着いたのは6月ごろから」。そう話すのは、現場で患者対応にあたる同院の看護師だ。「不安や苦しい部分もあるが、全ては『患者さんのため』」と話す。
◇ ◇ ◇
東部病院の看護師は、外来、病棟のほか、専門的に活躍する認定看護師など、計735人が勤務する。
当初は情報も少なく、「院内の体制整備が追いついていないことが不安だった」と看護師は漏らす。さらに4月、緊急事態宣言中は医療物資が不足。N95マスクをリユースする運用に変更し、ガウンを手作りするなどして凌いだ。
ウイルスの正体が明らかになるにつれ、心ないクレームも届いた。「職員同士の雰囲気が悪くなることもあった」
◇ ◇ ◇
医療従事者への感謝が広がると、クレームは支援に変わり始めた。「マスク一枚をもらうことも」。看護師はそう微笑む。「患者のため」。コロナ以前から変わらない思いは一層強くなった。「今は対策徹底など病院のフォローも大きい。安心して働ける」。一丸で難局に立ち向かう。
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