横浜みなとみらいホールが今年で開館25周年。それを記念した音楽祭の1つの企画、3月23日の「反田恭平ジャパン・ナショナル・オーケストラ新曲演奏会」で、2007年から13年間館長を務めた池辺晋一郎さんの新作協奏曲が、ピアニスト・反田恭平さんの「弾き振り」により初披露される。
前館長の池辺さんは、現在、同館のプロデューサーを務める反田さんから依頼を受けて、『ピアノ協奏曲IV《草が語ったこと》』を作曲。この作品は詩人、長田弘さん(1939〜2015)の詩『草が語ったこと』から着想を得たもの。
詩の「うつくしいとは、ひとだけがそこにいない風景のことだ」という一節を「最も自然であるというのはどういうことか」という問いかけだと感じた池辺さん。詩の通りに自然体であろうと、何かを設定してそれに基づいて曲を書くことをしなかったという。
13年初演の『交響曲第9番』では長田さんの歌集からインスピレーションを受け作曲したり、長田さんが自身の故郷・福島県の中学校の校歌を作詞した際は池辺さんが作曲を手掛けるなど、池辺さんにとって長田さんは大きな存在だった。『草が語ったこと』も、以前から歌やタイトルにしたいと思っていたという。
弾き振りによる初演
池辺さんは反田さんについて「最も注目しているピアニストの1人」と評する。21年の第18回ショパン国際ピアノコンクールで、日本では半世紀ぶりの第2位を受賞したことは記憶に新しい。
今回の公演では反田さんがピアノを演奏しながらオーケストラの指揮を行う「弾き振り」により曲が初演奏される。
同ホールの館長時代を池辺さんは「一緒に歩き、一緒に走り、一緒に手を振り、ある時は議論をする。そういうスタッフと親しく仕事ができた」と振り返った。
音楽祭は24日まで行われる。会期中は、ソロ、室内楽、反田さん率いるオーケストラによる公演など、多彩な企画が並ぶ。(問)同館チケットセンター【電話】045・682・2000
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