鶴見区 文化
公開日:2025.08.28
「暴れ川」と呼ばれた鶴見川
浸水被害体験者に聞く
鶴見区での災害被害で思い出されるのが、1958年9月の「狩野川台風」での鶴見川の氾濫。川沿いの市場地区や矢向地区は床上浸水など甚大な被害を受けた。小学生時に同台風を体験した矢向在住の間口健一さん(78)に話を聞いた。
「平屋が多く胸元まで浸水してしまい、身動きもあまり取れなかった。たまたま近隣に2階がある家があったので、周辺の住民はそこに避難させてもらっていた」と当時を振り返る間口さん。
悪条件重なり度々氾濫
「暴れ川」とも呼ばれる鶴見川は同台風以外でも氾濫を起こしてきた。特徴として川幅が狭く、駒岡に「岩瀬」と河口付近に「がら洲」と呼ばれる2つの岩盤があって川床が浅くなっていたこと、大きな支流から大量の水が流れ込むといった悪条件が重なっていた。「地理的な部分はどうしようもなく、床上・床下浸水が避けられなかった」と間口さん。
現在では、港北区の新横浜公園に多目的遊水地が整備されたことなどもあり、鶴見区内での浸水被害の危険性は減った。しかし、間口さんは「昔は『向こう三軒両隣』というように、近所のつながりが生命線だった。災害対策が進んでも、最近は異常気象も続くので気を緩めないことが大切。今も家族には日頃から避難場所を把握し、いざという時には速やかに避難するよう伝えています」と語った。
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