連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 【8】音楽に触れるのは早い方がいい?
音楽に触れるのは早い方がよく、まわりの大人が音楽に親しんでいる姿を子どもが見て聞いて実感することが大切です。決して大人が子どもに音楽を押しつけてはいけません。音楽は言葉の延長線上にあるものです。前回、赤ちゃんをあやすときの言葉掛けが多いと他人との情緒的な関係を作りあげる能力、特に思いやりの心が芽生えるお話をしました。「あやす言葉」が、リズミカルになり抑揚が大きくなれば歌になります。子どもをあやすとき積極的に話かける、という当たり前のことが、最初の音楽環境にふさわしく、音の感性・情緒の成長によい影響を及ぼすと考えます。では、どう音と触れ合うのか、生物学から見たその方法と順序について考えてみます。
イルカの赤ちゃんは超能力といわれるエコロケーションという音波の仕組みで、まわりの動きを認知して自分の動きを確認します。人間の赤ちゃんも、ガラガラと音の出るおしゃぶりで自分の動きを音で確認し、からだの成長を促進。音の出るサンダルや草履などで得意げに励まされています。音楽を奏でる楽器より、その動きや気持ちをもりたててくれる音の出る生活用品が必要です。
Q.子どもにCDを与えるのはいい?子どもにピアノを何歳から習わせたらいい?
A.子どもにピアノを好きになってほしいなら、親自身が普段からピアノを楽しむこと。その姿を見て、子どももピアノに興味を持ちます。音楽と触れるプロセスとして、わらべうたなど大人と一緒に遊ぶ音楽なしにいきなりCDだけというのはよくないと専門家は答えるそうです。遊びとしての音楽を抜いてしまっては、五感の中の優れものといわれる聴覚を活用しないようなもの。また、親が好きでもないものを「子どものために」と聞かせるのはもっと致命的。子どもは大好きな親をまねて育つので、親が積極的に音楽を楽しむ姿勢が伝われば、子どもは音程をとることを学んでいくようです。
「リズム感がよい」とは、伴奏に合わせて踊ったり、歌ったりすることと思われがちですが、ヒトはもともとよく生きるためのリズム感があるもの。イルカの調教でも意図的に訓練しようと緊張させると、イルカの遊ぶというリズムが崩れてしまいます。友だちとたくさん遊び、親と一緒に楽しめば、自然にリズム感はよくなっていくでしょう。
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一
(問)【メール】iwashige@gmail.com】
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