「鷲の湯」(内田博之代表取締役)=七島町=が9月28日、神奈川消防署(森田清署長)と「大規模地震発生時等における施設使用に関する覚書」を締結した。今後、同銭湯は災害時に温泉水を消火用水として提供する。こうした覚書の締結は、公衆浴場として市内で初めて。
鷲の湯は創業八十年の老舗で、地域住民の憩いの場として長年親しまれてきた銭湯だ。地下200mから天然温泉がわき出ており、施設内の浴槽などには61㎥がためられる。
覚書には、震度5強以上の地震が発生した場合に、神奈川消防団が温泉水を消防用水として使用することなどが盛り込まれた。
28日の調印式で内田代表は「初期消火に役立ててもらいたい。もしもの時には、遠慮なく使って下さい」とあいさつ。森田署長は「鷲の湯さんは、地域コミュニケーションの場として『共助』を実践している。こうした環境が区内に広がってほしい」と述べた。
区内被害想定1万棟超える
温泉用水を活用する覚書の締結は、公衆浴場として市内初。背景には、市が2012年に見直した地震被害想定がある。神奈川区は市内で最も多くの1万1802棟が焼失するとされており、七島町も早期対策地域に指定されていた。今回の締結は、減災目標を掲げる消防側と地域貢献に取り組む銭湯側の思惑が一致して実現したものだ。
鷲の湯のある七島東町内会(約180世帯)の尾藤一郎会長は「七島町は昔ながらの密集地域で、火災を心配する住人も多い。東町だけでなく周辺地域も活用できるのではないか」と話している。
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