ミスター高橋の 連載 「貯筋」の心得 【16】誤嚥を防ぐ首の筋トレ
テレビの健康番組で思いがけない知識を得て小躍りした――。私どもの介護予防教室『貯筋倶楽部』で行っている各種筋トレ種目の中のひとつ、ネックカールのことである。ネックカールとは、「首の筋肉である胸鎖乳突筋を強化し、高齢者独特の首が前屈みになってしまう姿勢や、頭の重みに負けての肩こりを予防する」と私は指導してきた。ところが、効果はそれだけではなかったのです。
現在、日本の三大死因は悪性新生物(がん)・心臓疾患・肺炎の順ですが、その肺炎死の原因のひとつとなっている誤嚥(ごえん)を防ぐ効果がネックカール運動にあったのです。
誤嚥とは気管内に固形物や流動物を誤って飲み込み、肺の内部に入り込んでしまうことで、致死率の高い誤嚥性肺炎になってしまいます。食物などを飲み込む嚥下(えんげ)の際、気道の入り口は喉頭蓋(こうとうがい)によって塞がれます。肺へ送るべき空気と食道へ送り込む食物を瞬時に判断し、速やかに喉頭蓋を開閉することを嚥下反射といいます。この重要な役目を司る筋肉が喉元にある舌骨筋群であり、前述の筋トレ種目がこの部位を鍛えているのを、改めて知った次第でした。「加齢とともに食べ物が喉につかえ、やたら咳き込むようになった」と感じる方も少なからずおられるのではないでしょうか。そのような誤嚥予備軍症状を予防改善するネックカール運動は極めて簡単。仰向けに寝て、頷くようにあごを喉元に引き寄せて頭の上下を反復させるだけです。一セット10回を3セットも行えば次第に首が鍛えられてきます。ただし細かい注意点も多々ありますから、遠慮なくお電話ください。
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