ミスター高橋の 連載 「貯筋」の心得 ㉔大相撲の長時間稽古
平成29年の大相撲初場所で初優勝した大関稀勢の里が第72代の横綱に昇進。19年間外国勢に押されっぱなしの厚い壁を破った快挙は、多くの日本人に感激の涙を流させた。稀勢の里は四股名どおり稀に見る怪我の少ない力士なそうだ。持前の頑丈で柔軟な体と努力の積み重ねであろうが、多くの力士は何らかの怪我を抱えている。土俵上で痛いそぶりを絶対に見せない意地の裏に、彼らの辛さがはっきりと垣間見える。
さて今回も、健康運動指導士の立場から大相撲の長時間稽古に自説を一言。
稀勢の里が入門したときの師匠(故人)は角界一厳しかったそうで、若手は未明に起床、空腹のまま正午までの猛稽古を強いたと聞いた。信じられず力士らに問うと事実だとのこと。凄すぎる。生半可な根性ではとても耐えられまい。しかし冬季とて褌だけの姿、長時間に渡る集中力維持が可能なのだろうか、疑問だ。
スポーツでいうトレーニングとは体を鍛え力を付けること、練習とは技術の向上を目指すことであり相撲の稽古は双方を合わせ持つ。
私は多くの外国人レスラーと生活を共にし、共にトレーニングもしているが、彼らは量より質に重点を置く。ところが未だ日本人アスリートの一部には、いかにトレーニングしたかの自己評価を時間の長さで言いたがる。外国人レスラーに相撲の長時間稽古を話したら一様に首を横に振った。 伝統を重んずる特質な社会ではあるが、貪欲な精神力に乏しい現代っ子人材が、噂に聞く旧慣にたじろぎ、ひいては新弟子減少の一因になってはいないだろうか。私が健康運動指導をしている高年女性に、根性論や精神論は無用である。
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