帆船日本丸の保存・公開や横浜みなと博物館の管理運営を行う帆船日本丸記念財団が、海事思想の普及に貢献したとして海洋立国推進功労者内閣大臣表彰を受賞した。10月21日に小此木八郎海洋政策担当大臣より表彰状を授与された。
同表彰は、海洋の分野で顕著な功績を上げた個人・団体を内閣総理大臣が表彰するもの。海洋に関する国民の理解を深めるために2008年度から実施している。
同財団は、日本丸と博物館を活用した海事思想の普及への貢献が評価された。日本丸では帆船での生活を体験できる海洋教室などを開催。今日まで374回実施している総帆展帆(そうはんてんぱん)には、延べ4万人を超えるボランティアが参加しているという。
博物館では、30年間で収集してきた海事関係資料約7万7千点を中心とした常設展示を実施。館内のライブラリーには約2万7千冊の海事関係図書を所蔵し、一般利用を通して海や港、船に関する情報発信の場として活用されている。
同財団の金近忠彦会長は「長年事業を支えていただいたボランティアの方や、大規模修繕の際に寄付をしてくれた皆様のおかげで今回の受賞がある。喜びを分かち合いたい」と話した。
日本丸は船員養成の練習船として1930年に建造され、約54年間で1万人以上の実習生を育ててきた。引退後、85年からはみなとみらい21地区の石造りドックに保存、一般公開されている。
同財団は、日本丸を歴史的財産として保存・公開し、併設の関連施設と一体的に活用することで青少年の錬成や海と港に関する理解と知識を深めることを目的に設立。85年の公開以来、約550万人が同船を見学。隣接する博物館にも約400万人が足を運んでいる。
日本丸は2017年に国の重要文化財に指定。同年には当時の天皇皇后両陛下が海の日に訪問された。昨年終了した大規模修繕では約3750万円の寄付金が集まるなど、地域のシンボルとして親しまれている。
金近会長は「受賞を励みに従来の活動に力を入れるとともに、より注目が集まるであろう観光分野としての価値も高めていきたい」と語った。
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