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公開日:2022.02.24

宇宙エレベーター
神大が時速100Km達成
世界最速更新 実用化へ弾み

  • クライマーを持つ江上教授(中央)と学生ら

 地球と人工衛星間で人や物資を輸送する手段として注目される「宇宙エレベーター」の研究開発を行う神奈川大学のプロジェクトチームが、クライマーと呼ばれる昇降実験機で世界最速記録となる時速100Kmを達成した。実用化に向けた大きな一歩で、工学部の江上正教授は「地道にノウハウを積み重ね、年々レベルが上がってきたことで達成できた」と話し、共に研究に取り組む学生らと喜びをかみしめている。



 宇宙エレベーターは、地上から宇宙に延ばしたケーブルを使って人や物資を運ぶ構想。ロケットに代わる輸送手段として期待されており、約30年後の実用化を目指して企業や大学などが研究を重ねている。同大では2008年から「宇宙エレベータープロジェクト」をスタート。研究に関心を持つ14人の学生が参加し、教職員と共に実験を進める。



 開発したクライマーは全長66cm・重さ約9kg。ウレタンゴム製のローラーをベルトに挟み、回転させながら上昇する仕組みだ。速度世界一を目指した昨年9月の実験では、事前テストのブレーキトラブルで着地に失敗し、クライマーのフレームが変形。本番でも部品のベルトが破損するなどトラブルが相次いだが、3度目の挑戦で時速100Kmを達成し、これまでプロジェクトが保持していた時速75Kmの世界記録を大幅に更新した。



速度とパワー両立



 今回使用したクライマーは、これまでの機体から2・5kgの軽量化を図り、バッテリーも増設するなど改良を重ねた自信作だった。学生らは「自分が携わったことで1番に輝けたことがうれしい」「あの光景は鳥肌が立ったし、周囲の人も喜んでいて感動した」と、記録更新の瞬間を興奮気味に振り返る。



 技術の向上を目的に年1回開催される競技会に出場してきたが、当初は上昇するかどうかも分からないレベルだった。3年前、速さを追求する「スピードタイプ」と重量物を持ち上げることを重視した「パワータイプ」というコンセプトに分けて開発を進め、それぞれの改善点を探るうちに性能が飛躍的に向上していったという。



 今後は宇宙への輸送時間短縮に欠かせないさらなるスピードアップを求め、時速200Kmの壁を目指す。開発リーダーの守屋元道さんは「実現までの開発段階はいまだに数%というところだが、速度においてはあと少し」と話し、夢の宇宙空間を目指して研究を加速させる。

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