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公開日:2023.08.31

神大寺稲見さん
横浜マイスターに選定
鉄道模型の技術称え

  • 製作所で模型を手にする稲見さん

 横浜市は8月16日、「令和5年度横浜マイスター」を発表し、新たに2人が選定された。神奈川区からは、鉄道模型製作を行う稲見行雄さん(72)が選ばれた。父から引き継ぎ、長年模型作りに取組む稲見さんは「鉄道模型が注目してもらえるのは嬉しい。今後も精密な模型を作っていきたい」と話す。

 横浜マイスターは1996年度に始まった制度で、市民の生活・文化に寄与する技能職者が選ばれる。第28期となる今回は2人が選ばれ、マイスターは計70人となった。

 稲見さんは、稲見鉄道模型製作所=神大寺3の11の8=の二代目。1946年、鉄道やモノづくりが好きだった稲見さんの父親が開業した。アメリカを中心に海外向けの鉄道模型の下請けから始まり、次第に規模を拡張した。稲見さんは、小学生の頃から兄弟と手伝いをしており、大学卒業後に父のもとで働き始めた。現在は、国内向けのオリジナル製品の受注製作を行っている。

細部まで再現

 鉄道模型は真鍮製で、レールから車両内部のモーターに電気を通して実際に走らせることができる。稲見さんの模型の特徴の一つが、国内でも珍しい45分の1サイズでの模型の製作。一般的な150分の1サイズよりかなり大きいサイズ感を生かし、本物と同じ構造の再現など、オーダーメイドの要望に応じる。

 「正面や側面の写真は多いが、上部や底面を映した写真は少ないので、機会があればたくさん記録している」と稲見さん。内部空間を再現するためにモーターの付け方を工夫したり、パーツの表面を滑らかにするために医療機器の製作メーカーに加工を依頼したりすることもあるという。

 過去には、集団就職で上野駅に向かった時の車両を退職金を使って再現したいとの依頼があったことも。「お客さんの人生の思い出に関わることができるのは、やりがいであり大きな責任。同じ車両でも活躍した時期や地域によって、特徴が異なることもある。要望通りのものを再現できるように、できる限りを尽くすのがやりがい」と語る

 マイスターの選定には「鉄道模型というニッチな分野に注目してもらえるのは嬉しい」と振り返り、「作る・見る・走らせるという、模型の楽しさを多くの人に知ってもらえれば」と、製作所での作品や工程の見学も随時受け付けている。「担い手の育成も業界の課題。これからも模型作りを通じて、技術と魅力を発信していきたい」

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