川崎市薬剤師会(嶋元会長)は個人情報の漏えいを防ぐ「電子お薬手帳」を今秋から試験導入していく。開発は(株)ソニー。調剤情報と個人情報を分離管理することで情報漏えいに対処する仕組みになっている。
お薬手帳は調剤履歴など薬剤師が薬の飲み合わせ等に配慮するために利用されている。現在は薬局でもらえる紙を保管する冊子タイプが主だが、スマートフォンのアプリケーションが開発されるなど、全国で電子化が進んでいる。
その一方で、課題となっているのが、内外からの不正アクセスによる個人情報の漏えいだ。
今回、同薬剤師会が導入するシステムは、この情報漏えい防止が大きな特長となっている。方法はデータの分離管理。従来はサーバに調剤情報、個人情報をセットで記録するが、このシステムでは調剤情報はネット上のサーバで保存するが、個人情報は所有者の非接触型ICカード(FeliCa)に保存するため、サーバに不正アクセスがあったとしても、個人情報は護られることとなる。
この電子お薬手帳は専用のカードとスマートフォン用のアプリケーションで使う。利用者が薬局の端末にカードをかざすと調剤履歴の閲覧や記録ができ、スマートフォン用アプリを利用すれば、自宅や外出先でも情報閲覧ができる他、診察時の症状や服用後の副作用などを記録することもできる。
本人の了承を得れば、家族も登録できるので、家庭内の調剤履歴を一元化して管理することができるようになる。また、遠隔地においてもスマートフォンでデータを確認することができるため、遠方に住む家族の健康状況を把握することもできる。
現在、川崎市薬剤師会では、システム普及のために準備を進め、市内にある約400の調剤薬局を対象に導入を呼びかける予定。利用者には薬局の受付窓口で呼びかける。
嶋元会長は「お薬手帳の情報が簡単に引き出せ、利用者も便利にみられる。利用者の健康管理を助ける薬剤師の付加価値向上に役立つと確信している」などと話している。
区内は11年に先行導入
このシステムは、すでに宮前区で2011年から試験導入されており、現在約20の薬局で、約1000人が利用しているという。
宮前区薬剤師会の伊藤啓会長は、「若い世代はおくすり手帳を利用されない方も多かったが、電子化により、利用回数が増えた。またお年寄りにとってもカードを持ち歩くだけなので簡単に使ってもらえている」と語る。
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